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2008/10
20
[ #460 ]

備忘録的に書いてます

  1 酒類全般に対する雑感・妄想      ~酒は嗜好品~
  2 ワイン ~                ~ワインは人類最古の酒~ 
  3 ビール              ~ビールは社会的な酒としては最古?~
  4 ミード ~            ~そういえばミードという酒も有りました~
  5 その他、醸造酒 ~          ~他の古い醸造酒の事~
  6 ビール ~ 2              ~ビールは何をもたらせた?~
  7 ワイン ~ 2               ~ワインは上流階級の酒?~
  8 ワイン ~ 3               ~古代ギリシャのワイン~ 
  9 ワイン ~ 4            ~古代ギリシャのワイン2~  
 10 ワイン ~ 5           ~古代ギリシャのワイン3~     
 11 米の酒 ~              ~米の酒は何時から~    
 12 日本の酒 ~               ~日本酒の嚆矢は?~
 13 日本の酒 ~ 2          ~邪馬台国の酒は口噛みの酒?~
 14 中国の酒 ~               ~中国の酒の嚆矢~  
 15 中国の酒 ~2              ~紹興酒の嚆矢~   
 16 中国の酒 ~3              ~竹林の七賢の酒~ 
 17 ワイン ~ 6         ~古代ローマのワイン~        
 18 ワイン ~ 7               ~古代ローマのワイン2~
 19 蒸留酒 ~                  ~蒸留酒の誕生~
 20 蒸留酒 ~ 2               ~蒸留酒の位置づけ~
 21 ワイン ~ 8                ~修道院の役割~
 22 日本の酒 ~ 3             ~奈良・平安頃の酒~
 23 ビール ~ 3              ~英国のビール(エール)~
 24 ウオッカ                    ~ウオッカの事~
 25 ビール ~ 4                ~ドイツビールの事~
 26 ウオッカ ~ 2                ~ウオッカって~
 27 リキュール                   ~リキュールの嚆矢~
 28 ウイスキー ~          ~ウイスキーの嚆矢(ポチーン)~
 29 ブランデー ~                ~オー・ド・ヴィー~
 30 シェリー ~                  ~シェリーの誕生~
 31 リキュール ~ 2             ~錬金術師とリキュール~
 32 リキュール ~ 3            ~近代の始まりとリキュール~
 33 リキュール ~ 4        ~ディサローノ・アマレットの逸話から~
 34 ウイスキー ~ 2             ~スコッチウイスキーの嚆矢~
 35 ワイン ~ 9                   ~ボルドー~
 36 シェリー ~ 2                  ~発展~
 37 シェリー ~ 3                 ~英西戦争~
 38 日本の酒~ 4                  ~中世~
 39 日本の酒~ 5                 ~中世 2 ~
 40 ブランデー ~ 2               ~所謂ブランデー~
 41 ブランデー ~ 3              ~フルーツ・ブランデー~
 42 ジン ~                       ~ジュネヴァ~
 43 ジン ~ 2                     ~英蘭合邦?~
 44 ジン ~ 3                  ~オールド・トム・ジン~
 45 ウイスキー ~ 3           ~スコッチウイスキー その後~
 46 リキュール ~ 5            ~フランス宮廷文化の始まり~
 47 アメリカの酒 ~                  ~初期の北米の酒~
 48 日本の酒 ~ 6            ~江戸の酒文化は豊かだった?~
 49 ワイン ~ 10                   ~フランス革命~
 50 アメリカの酒 ~ 2          ~酒税導入&バーボンの誕生~
 51 シャンパーニュ~          ~シャンパーニュに関する与太話~
 52 ジン ~ 4                    ~ドライジン誕生~
 53 カクテル ~               ~カクテルとは?~     
 54 カクテル ~ 2                 ~カクテルの誕生~
 55 リキュール ~ 6             ~薬草系リキュールの流行~
 56 リキュール ~ 7                ~アブサン~
 57 ウイスキー ~ 4           ~スコッチモルトメーカーの誕生~
 58 カクテル ~ 3            ~カクテルの普及は19世紀末?~
 59 カクテル ~ 4          ~1920年代以降世界的に流行?~
 60 カクテル ~ 5            ~トロピカル・カクテル・ブーム~
 61 カクテル ~ 6             ~フレア・バーテンダリング~
 62 ウイスキー ~ 5               ~19世紀末~
 63 リキュール ~ 8             ~薬草系リキュールについて~
 64 ワイン ~ 11                ~格付けの始まり~
 65 ワイン ~ 12                  ~AOC~
 66 ウイスキー ~ 6                ~第二次大戦~
 67 ウイスキー ~ 7               ~シングルモルト発売~
 68 ビール ~ 5                  ~日本のビール~
 69 ビール ~ 6                 ~日本のビール 2~
 70 ビール ~ 7                 ~日本のビール 3~
 71 ウイスキー ~ 8           ~嗜好品としてのウイスキー~
 72 日本の酒 ~ 7              ~地酒ブームから・・・~
 73 日本の酒 ~ 8              ~江戸の嗜好品として~
 74 ワイン ~ 13              ~わが国で嗜好品として~
 75 祭祀の酒 ~             ~祭祀で飲まれるさけとは~  
 76 祭祀の酒 ~ 2              ~神に近づくさけ~
 77 祭祀の酒 ~ 3  又は社交の酒 ~ ~神と飲み交わす~
 78 社交の酒 ~ 2            ~廻しのみから、シュンポリオン~
 79 社交の酒 ~ 3  又は嗜好品の酒       ~産地等を話題に~
 80 嗜好品としての ~ 2             ~楽しみ方~

          
                以上

 
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Copyright © ますた [バーテンダーと呼ばれる程のバカは無し] All rights reserved.

2012/01
14
[ #357 ]

お酒全般のはなし

 今年からこのブログ、何を書こうかと思っていたのですが、折角なので少しはバーテンダーらしくお酒の話を思いつくままに少々綴ってみようかと思います。自身の備忘録も兼ねてといったところです。
 基本的に酒全般(その周辺も含め)が好きでバテンダーをしている面もある訳ですが、あらためて酒や酒の魅力とは?等と考えてみますと、これが中々一言では言い表し辛いのです。がそれを覚悟の上少しばかり・・・。




 一回目はお酒という物全般について徒然に・・・。

 先ず酒とは代表的”嗜好品”であると言うのが比較的やり易い定義付けにも想えます。

 他に煙草、茶、近代ではコーヒー辺りが代表的嗜好品と言えそうですが、その歴史や生み出した文化、人々の生活に与えた影響等々考えますと、やはり酒が最も偉大な嗜好品と言えそうです。
 酒の魅力とは嗜好品の魅力なのかも知れません・・・。


 では人類、いったい何時頃から意識的に酒を造り飲むように成ったのか?
 完全に正確な事は解らないでしょうし証明の仕様も無い。
 また個人的には知りたいとも想いません。
 どちらかといいますと何故?何時頃?人が”酒”という嗜好品が必要とする様に成ったのか?この方に私の興味は向きます。
 勿論こんな事を証明する事も難しいですし私にはそのような能力も無いので、単なる言いたい放題ですが・・・・。



 それは人類がある程度定住的な生活を営み始めた事に拠るのではと想えて成りません。
 更に言えば、その定住に拠り生まれた村に成人した雄が残り始めた事に拠りそうな気がします。

 本来雄は自分の遺伝子を残すため、他の雄と命がけの争いをするという本能が備わっているのでしょうが、村の中では絶えずそうした争いをする訳にもいかず、その本能を理性で押さえなければ成らない事態が生み出された事に有る様に想えまるのです。

 この理性と本能の対立こそがストレスの原初では無いかと思えるわけでして、そこで酒は基本的に麻痺剤(ダウナー)。故に理性を適度に麻痺させストレスを軽減する。
 そうした事に依り、抗ストレス剤としての嗜好品である酒を必要とする状況が生まれたと。
 (ボノボはフリーセックスと言う方法論等で、雄同士の争いを軽減した様ですが・・・)

 またそうした状況は雄の本能を開放する時期、詰まり祭(ハレ)をも生みだす。
 そうした時に理性を少し抑え、本能を開放する為の触媒としての酒・・・。
 酒と祭の親和性は、当初からあったのでしょう・・・。

 また抗ストレス剤以外にも嗜好品には重要な要素が有る様にも想えます。
 それはコミニュケーションをする上で生み出される緊張に対抗するツールとしての嗜好品。

 生き物、特に雄にとって一番意識するのは同種の雄の様な気がします。
 そうした他の個体と面と向かって対峙しなければならない場面において、これをスムーズに行う為のツールとしての嗜好品。

 酒、煙草、茶。
 正にそうした使い方をされて来た様に想えます。
 他人の家を訪ねた場合に出される物ですよね。
 (また神とのコミニュケーションツールとしての酒って面も・・・)

 理性を緩め本音を見せ合う為の酒。
 平静を保つための煙草。
 理性を眠らせない茶(カフェイン)。

 またそこから多くの小道具や装飾品等を生み出すのも、嗜好品故かも知れません。
 
 
 このコミニュケーション。あるいは他者との係わり。社交。
 これを円滑にする嗜好品の力。実はこれが人類の文化を発達させた影の力の様にも想えます。


 最近は酒も煙草も嫌われ者になりつつ有る気がします。
 確かに現代の様に先ず自己主張が肯定され、訴訟、争い、ディベートが肯定される世の中では酒・煙草といった嗜好品も必要とされないのかも知れません。

 ただ男女同権が声高に言われ女性の社会進出が増す中で、女性の喫煙率、飲酒率が上昇しているのも確か。
 (確か我が国の20代の飲酒率は2008に男女逆転した様に記憶しております)

 やはり社会人として、あるいは大人として振舞う努力にはそれなりのストレスと嗜好品が付いて廻るのでしょう。


 勿論抗ストレス剤。詰まりは薬物、ダウナーとしてのみ酒と付き合うは如何な物かとは想います。昔のエジプトの小話の如く。

 「何故、そんなに飲むのだ?」
 「忘れるためさ」
 「何を忘れたいのだ?」
 「・・・・。忘れたよ、そんな事は・・・」

 と成っても不味いですし・・・・。

 しかしそうした面も含め酒、及びその周辺、興味は尽きないです。


 ますた

 

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2012/02
03
[ #362 ]

ワインのはなし

 ワインこそが世界最古の酒ではないのか?と想います。

 社会的酒としてはビール(エール)がその座に着くべきであるとか、文献的にはミードでないかといった意見もあるでしょうが・・・個人的には人類が意識して作った酒としてはワインが最古ではないかと想っています。


 何故か・・・?と話を進める前にワインという酒の定義付けを・・・・。便宜的かつ簡単に、広義から狭義に並べますと・・・。

 1、酒類全般 > 2、醸造酒全般 > 3、糖質を主原料とする醸造酒 > 4、果実を原料とする醸造酒 > 5、葡萄を主原料とする醸造酒 > 6、スティルワイン
 といった感じですか・・・・。

 因みに6のスティルワインと言う物が、一般的にワインといわれる物です。


 また1の酒類全般=ワイン、というのも???と想われそうですが、我々日本人が清酒だろうが、ウイスキーだろうが、ワインだろうが、ひっくるめて”酒”というような物です。


 そういえば昔の映画で、「Days of wine and roses」 (邦題、酒と薔薇の日々)というものが有りましたが(暗くて、良い映画です)(ヘンリー=マンシーニ作曲の主題歌も良いです)(因みに主演は、アパートの鍵借しますの、ジャック=レモン。女優さんはリー=レミック)、この題名中の”ワイン”です。
 映画の中で飲まれるのはジンであったり、カクテル(ブランデーアレキサンダー)であったりですから・・。
 

 話がそれましたが、ここで私が”人類が最初に作ったであろう酒”という場合の”ワイン”は、3 の果実で作った醸造酒な訳です。


 何故、そう想えるのか?
 それは農耕の誕生以前、詰まり採取を主体とした生活の中でも自然発生的に、また簡単に作れる酒だという事です。

 想像していただければよいのですが、果物は実る季節ってあります。そこで当時の人達はたわわに実った果実を採取し、貯蔵しようとしたはずです。
 そうした状況において葡萄やそれに近い果実を容器に貯蔵しますと、下の方は潰れます。そうすると勝手にワインが出来てしまうのです。
 此処が葡萄類の素晴らしいところで、内部は”適度”の水分と糖質、そして皮の表面には天然酵母。
 これに依り勝手にワインに成ってしまう。

 違った言い方をすれば、果実を貯蔵する容器を手に入れた時が人類が酒(ワイン)造りを始めた時期と言って良い気もします。
 

 ではそうした容器は何時頃から作り始められたのか?

 最古の土器は・・・?(樽より土器の方が歴史が古いといわれてます・・・・)

 実は縄文土器を最古の土器とする説も在ります・・・。

 とすると・・・最初にワインを造って飲んだのは日本人(縄文人、源日本人)?何て妄想も生まれたり・・・。(笑)


 縄文時代の土器の話をもう少し考えますと、縄文土器の中に「有孔鍔付土器」という物が有ります(以前、三次の歴史民俗資料館で酒造りの歴史展が有り、実物大レプリカが展示して有りました)。
 この土器、酒(ワイン)造りに使用された事が確定されている最古の縄文土器ではないかと想うのですが・・・、その制作時期は縄文前期末~中期末といわれているそうで・・・。今から7000~5500年前位ですかね?
 エジプト等では既に農耕が始まってるか・・・。


 それはさておき、ワインを「世界最古の酒だから」という理由で飲む(マニアな)ひとは、まずいないですよね?私だってそうです。では人々はどういう動機でワインを選択し飲むのか?


 ヨーロッパの人々はそれが「酒」だからでしょう・・・。

 では日本人は・・・・。

 20世紀においてはある種のイメージがその選択の動機付けだった気がします。
 (基本的に嗜好品はイメージの商品ともいう気がします。最近観なくなりましたが、煙草の広告に最もよく現われていた様に想えます。そうした意味でも煙草こそが最も嗜好品らしい嗜好品だといえるかも知れません)


 どういったイメージか?

 色々いえそうですが「豊かで、お洒落で、進んでいて、かっこ良い”西洋”」のイメージの様に想えます・・・。
 勿論今ではワインが好きだからといった方が多いと思います(ワインを飲む事が定着したのでしょう、或いは洋食)。


 長くなりました。



 そんなこんなでバカナリヤにも少しだけですがワイン、用意してあります。

  セラー

 

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2012/03
17
[ #370 ]

ビールのはなし

 職業柄どんな酒でも口にします。当然ビールも・・・。

 しかしビールって美味しいですよね。
 水を2リットル飲みなさいといわれますと遠慮したいですが、ビールなら喜んで!と答えたくなります。
 飲めば飲むほど飲みたくなる、そんな一面が有りますね・・・(私だけかな?)。

 前回、ビールは社会的アルコール飲料の嚆矢といった事を少し書きましたが、今回はその辺り・・・・。



 恐らく人類が農耕(穀物生産・灌漑農業)を始めたのは1万年程前、メソポタミア~エジプト辺りなのでしょう、これが文明の始まりと考えて間違いは無いように想えます。

 では何故、穀物生産の始まりが文明の嚆矢といえるのか?


 穀物の特徴として重要な事は、適切な管理をすれば次の収穫期まで保管が可能である事(保管性に優れているという事)。
 また、主食という形として殆どの人々が必要とする存在であるという事。
 更に、計量、運搬の便が良いという事。

 これに拠り価値の単位として機能出来る、詰まりは貨幣の前駆的存在としての穀物、これが重要に想えます。
 

 これに拠り、富の分配や他の人々、村落等との交流が遣りやすくなり、大規模社会が形成出来るという事でしょう。

 また考えますと我が国では、一応幕末まで武士の俸給を石高(換算)で行っていたという事は、この文明の原初的姿、システムを維持していたという事で、この辺りが江戸時代が平和に250年以上続いた遠因の様にも想われます。



 そこでビール、この穀物(麦)から造られる訳ですが、前回書いたワインとどういった異なる意味を持つのか?

 それは、原料となる麦が1年を通して手に入るという事。
 原材料が有るのですから、後は技術者(ビール職人)と道具(適当な容器、出来れば良質の酵母が付着してればなお良)が有れば1年を通して口に出来るという事(当時のワインは保管性が悪かった)。


 これに拠りビールは分配物としても成立出来たという事。
 この辺りが、私がビールを社会的酒類の嚆矢と想う所以な訳です・・・。

 特にエジプト等では、職種に拠り日々配られるビールの量が決められていた、なんて話も有りますし。

 そうなると、ピラミッド建設という労働を終えて配給されたビールを飲み、仕事に区切りを着ける・・・何てことも有ったで有ろうと想像出来たり(これって、南九州あたりの”だれやめの酒”と共通のイメージですね)。


 他方、エジプトのビールにハレの酒(祭等で飲んで酔う為の酒)の要素は無かったのか?

 当然、そうした側面も有ったでしょう。
 一寸考えれば収穫祭なんて思いつきますし・・・。
 ドイツのオクトーバー・フェストなんてその延長線上に有りそうですし・・・。


 少し話が横道にそれますが、この収穫祭。収穫出来た穀物、その年の実り、あるいは大地・自然等に感謝する意にて行われるという解釈が一般的ですが、私はそれ以外に”蕩尽”の要素も強く有ったのでは?と想うのです。


 どういう事か。

 秋に穀物が収穫されます。この収穫された穀物で次の収穫期まで人々が暮らす訳ですが、では前年の収穫分の残りはどうするのか?という事。

 現代的には”貯めとけばいいじゃん”ですが・・・。
 当時、これは良くない事とされていたのでは?という事。


 何故か?

 自然界。土から植物が育ち、それを食べて動物が成長する、そして死を迎えて土に帰る。その土からまた植物が育つ。
 このサイクル。食物連鎖と言う奴ですが、この実感が人々に強く有ったのでは無いかという事。東洋思想にある、輪廻なんてのもここから来ている様に想われますしね。

 そこで、前年分の穀物を貯めるという行為、この食物連鎖を滞らせるという意識が有ったのでは無いのか?という事。

 故に、前年の収穫分の残りは蕩尽する(しなければならない)。
 これが収穫祭の重要な一面ではと想うのです・・・・。

 我が国でも、飢饉に備えた備蓄米なんて江戸中期まで殆ど行われ無い訳で・・・。過ぎたる備蓄・蓄財に対する無意識的抵抗感が有ったのではと想う訳ですし、また重要にも想えます。



 横道ついでにもう一つ。

 当時は麦から直接ビールを造るというより、ビールの元になるパンを作り、保管し、これからビールを造るという遣り方が多かったという話があります。

 では現在、こうした遣り方をしているビールは無いのか・・・・?

 ロシアに、”クワス”という飲み物が有るそうで・・・・。黒パンを水に浸し発酵させて造るビールの様な飲み物。

 残念乍、未だロシアに足を踏み入れた事が無いので口にする機会は無いのですが、お飲みに成られた方のお話では”日本のビールを考えると、とても美味しいとは言えない物でした・・・。”との事。

 しかし今日でも有る様で・・・。夏場に伝統的健康飲料的に飲まれているという話も・・・・。

 そう考えると、日本の甘酒の様な物かな?
 今では甘酒というと冬の寒いときの飲み物のイメージが強いですが、江戸時代は夏場の栄養ドリンクでした。拠って、季語も夏。

 洋の東西、同じような事をしているのですね・・・。



 そんなこんなでビール。
 発酵に拠り栄養価も増し、吸収も良くなり、また液体という事で分配の利便性・公平感も高く、またアルコールの薬理作用もあり、そして何よりも日常的に存在しうる。

 正に庶民の酒・社会の酒って気がします。

 そしてこの庶民の酒としてのビールのイメージ。現代でも続いている気がします。

 ビールに乾杯ですね・・・。

 

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2012/04
13
[ #379 ]

ミードのはなし

 ワイン、ビールに続いて歴史が古く思われる酒に”ミード”という物があります。

 これこそが人類最古の酒という意見もあるようで、5000年位前のバラモンの経典(リグ=ヴェーダの事か?)にサンスクリット語の記述が有るとか?(サンスクリット語ではmadhuとか)
 (私個人としては其処まで古い記述では無いのでは?と想っておりますが・・・)


 またその原初は、熊等が壊した蜂の巣に残った蜂蜜に雨水が流れ込み自然発酵した出来た。そこで自然発生的に成立しうる故人類最古の酒で有るとする意見もある様です。

 何が最も古い酒か?何て議論するのも不毛な気もしますが、ミードを作るには蜂蜜を収集し、それを発酵しやすい濃度まで希釈する必要があります。
 また蜂蜜、ある種の抗菌作用のある物質も含まれていたり・・・。(過酸化水素に近い物とか・・・)
 (どちらにしろ、私はこうした手間、理由故ワインの方が古い酒だと想っております)


 閑話休題、ミード。何度か口にしたことが有ります(たまに店にも置いて有ったり・・・)。


 ミード  ミード・エチケット

 その感想で言えば・・・。
 ワイン等と比べ(現代的)嗜好品としては少々物足りない、という印象(嗜好品として見るなら、蜂蜜そのままの方が、セパージュとかテロワールとか楽しめそうな気がします)。

 蜂蜜をそのまま薄めた味と言いますか、甘さが前面に感じられ単調な印象です。

 しかしこれは現代的嗜好品として見た場合の印象ですし、もしかしたら”ミード”というお酒はそういう視点で見る物では無いのかも知れません。

 ではどう見るべきなのか?


 一寸話が横道に逸れますが・・・。

 酒という飲み物には色々の位相が存在している様に想えます。

 想い付くまま列挙してみますと・・・。
 

  1、神々との社交ツールとしての酒

  2、食べ物(液体化された主食)としての酒

  3、人との社交ツールとしての酒

  4、ステイタス・シンボルとしての酒

  5、水分補給の為の酒

  6、擬似通貨としての酒

  7、嗜好品としての酒
  
  8、薬(百薬の長)としての酒

  9、贈答品としての酒

 10、流通商品としての酒

 11、農産品としての酒

 12、工業製品としての酒

 13、芸術品としての酒

 14、収集対象としての酒

 15、資産としての酒

 16、楽しみとしての酒

 17、ドラッグとしての酒

 18、生活の句読点としての(だれやめ)の酒

 19、芸術的発想のプライマーとしての酒

 20、科学薬品としてのアルコール

 21、溶剤としての酒

 22、投資対象としての酒
 
 23、戦略物資としての酒

 24、投資対象としての酒

 25、アル中の酒   ・・・・・・ 等々


 幾らでも出てきそうです(思いつくままなので順序はいい加減です)。
 まあ、普段酒を飲むときこんな事を意識して飲んでいる訳では無いですが。


 そこで、ミードですが。
 薬、百薬の長として認識されていた面が強いのではないかと想えます。特に古代においては。
 非常に効果的な万能薬。そしてその存在感故に文献に残りやすかったのではと・・・。
 (古代の酒は多かれ少なかれ、薬あるいは健康飲料としての面は有りそうですが・・・。)


 では古代において”ミード”に薬として効果は有ったのか?

 当時としてはかなり劇的に有ったのではないかと想像します・・・。

 先ず第一にアルコールってそれだけで即効的に効きます(酔っ払う)。更に吸収されやすい糖質から造られている事。

 例えば我が国において、多くの人々が餓えから開放されたのは戦後の事でしょうし、世界的に見ても20世紀になってからと見ても良いのでは無いかと思います(勿論、現代でも飢餓に苦しんでいる人々は多いですし、古代だって飽食をしていた人々も有ったでしょうが)。
 それ以前、特に古代において摂取カロリーの量がそのまま幼児死亡率や寿命、健康に直結していた時代、またカロリーに餓えている身体にとっては、吸収されやすいカロリーとしての糖質の摂取はかなり劇的に効いたのでは無いでしょうか?
 
 更に蜂蜜由来のミネラル分等々。

 それこそ、始皇帝の仙薬(水銀だったとか?)や馬宝(馬の胆石)、犀の角などより効いたのでは(プラシーボ効果を除いて・・・)

 そんな気がします。


 ついでにもう一つ。
 ミードといえば・・・。ハネムーン・・・。
 結婚して1月位はミードを飲んで励みましょう(何にだ?)というのがハネムーンの語源だそうですが、やはりそれなりに効果があったのでは・・・。


 そして現代でもミードという酒。嗜好品と言うよりは健康食品として認知されている面が強い気がします。

 考えてみますと”ミード”、古代の位置付け、詰まりは薬や健康飲料としての位置付けを現代でもそのまま保っている貴重な酒と言えるかも知れません。

 恐らくはその、味等も含め・・・。
 

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2012/05
19
[ #388 ]

その他の醸造酒のはなし

 ワイン、ビール更にミードに関して言いたい放題書きましたが、それ以外の醸造酒はというと?


 先ず思いつくのは米で作られたお酒です。日本酒(清酒)や中国の黄酒(紹興酒等)、韓国のマッカリ(マッコリ)等々。
 これらに関しては私も米を主食とする日本人。あらためて妄想を膨らませてみたいのでまたの機会に・・・。

 ではそれ以外に古典的な醸造酒ってどんな物が有るのかと思い出してみますとみますと。


 先ず思いつくのが「プルケ」。メキシコの濁酒の様なお酒です。
 「テキーラ」の素と言っても良いかもしれません。
 ビールを蒸留したものがウイスキー、ワインを蒸留するとブランデーとなるように。テキーラはプルケを蒸留した物と言っても良いかも知れません。


 では飲んだ事が有るのか?と聞かれますと・・・。残念ながら未だ未経験です。
 以前メキシコに旅行に行かれるお客様に、もし可能なら買ってきて貰えませんか?とお願いした事が有ったのですが、リゾート地等では入手困難という事でした。


 プルケに限らず古典的な醸造酒ってあまり流通に乗らないのです。

 尤も最近では米国、西欧等でそうした醸造酒を見直そうというムーブメントもあり、徐々にですが流通に乗って来ている様です。プルケも缶入りの物等も製品化されているか。
 そういえばマッカリ(マッコリ)も少し前までは流通に乗ってなかったですものね。


 閑話休題、ではプルケどんな酒で何時頃から飲まれていたのか・・・。

 原料は”マゲイ”、リュウゼツランの一種。その茎からとった液を発酵させた物です。勿論、何時から飲まれていたか正確な事は解りませんが、アステカ文明辺りにはマゲイの神と言うものが存在してますので、その辺りの可能性は高いかもしれません(2世紀頃には飲まれていた記録があるとか)。


 ではプルケがテキーラの素なら、ラムの素は何か?となりますと・・・。
 もしかするとこれは無いと言っても良いのかも知れません。

 ラムはサトウキビ(廃糖蜜)材料に主として中南米で作られていますが、このサトウキビ、原産は東南アジアでそれを西洋人が中南米に持ち込み砂糖のプランテーションを初め、ラムはその副産物として出来た物なので中南米にはサトウキビ原料の伝統的醸造酒は無いのです。


 では東南アジアには?といいますと、バシとかアビエタ・タウという酒が有るそうですが、そうなるとラムの素と言うよりアラックの素と言いたい様な・・・。
 どちらも米麹を素とした酒母を使って造られるそうで、そうなると結構歴史は(ビール・ワインに比べ)新しいのかも知れません。


 では他にはといいますと。


 想い付くのは馬乳酒の系統・・・。

 こんなヤツです。

 ニイナイチュウ  内蒙古のニイナイチュウ(瓶)

 味は想ったより薄くてちょっと酸味を感じます。


 そして林檎から作られるシードル。

 シードル

 しいて言えばカルバドスの素、これはけっこう流通してます。因みに写真はニッカの物です。
 (カルバドスに関しては、以前こちらに少し書きました


 どちらにしろワインやビール程古くは無い気がします。(古けりゃいいのか?)

 では他にワインやビールに匹敵する位古くから存在しそうな酒は無いのか?等と考えますと・・・。可能性の有りそうなのは東南アジア等にありますヤシ酒ですかね。


 トゥバとかタノット・タックとか呼ばれるもの。

 ココヤシやニッパヤシの花芽の先を切り、其処から出る樹液を竹の筒に集めて置くと自然発酵して、勝手に酒になるというもの。(こんな木、庭に一本欲しいです。でも気候が違うので酒にはならないか?)

 これなら大きな器も必要ないですし採取文化でも十分に成立する酒ですから、ビールより、もしかするとワインよりも古くから人類が口にしていたかも知れません。

 尤も、殆どのお酒に関する本とかでは無視されている気もします・・・。


 現在語られる酒、或はその情報等々。結局は西洋の現代文明の視点でしか無い訳ですから、それもせん無い事かも知れません。結局、ヤシ酒の様にその範疇に入らない物は無視されるのでしょう。実際、流通にも乗らない訳ですし。

 ワイン等もそうですが、プリミティヴな醸造酒、簡単に発酵する訳で、それは裏返せば直ぐに変質しますから。


 こうしたヤシ酒なんて、朝、花芽を切り樹液を集め始め、翌朝回収すると既に発酵しているとか(1~2%?)(夕方に回収して飲むと更にアルコール度数が上がって濁酒並みになるとかなら無いとか?)、そしてそこから2日も寝かせると酢になるそうで・・・。

 それ故に流通する多くの醸造酒は何らかの遣り方で発酵を止めている訳ですが・・・。


 勿論他にも世界には色々の伝統的酒が存在市そうです。美味しいかどうかは別にした、機会が有れば味わってみたいですね。

 現地に行くしかないのかな?またそれが正当な飲み方という気もします。
 (尤も途中にも書きましたが、最近は見直され、或は伝統的である事それ自体が商品価値を持つようになり少しづつ流通に乗り始めたきらいも有ります故、日本でも飲めるチャンスが来るかも知れません)  


 相変わらずの戯言です。

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2012/06
16
[ #396 ]

ビールのはなし 2

 農耕が起こり穀物が定常的に生産・貯蔵される事と成り、その穀物(麦)から造られる酒(ビール)も通年醸造可能となり、社会の中心的なアルコール飲料の座に着いた・・・といった事を書きましたが・・・。
 ではその後、この農耕の原初の地であるメソポタミア、エジプト等でビールはどうなったのか?


 エジプトに関しては、その後もローマの支配下に入るまで王家を中心に頂いた農本主義的社会でしょうから、各種のビールがアルコール飲料の中心として飲まれていたように想われます(ワイン、ミード酒等もある程度飲まれていたようです)。

 一方メソポタミア周辺。勿論ビールがアルコール飲料の中心ではあったのでしょうが、エジプトとは地政学的に少々異なり、東西の結節点にある事が社会的にも飲酒行動にも影響を与えたのでは無いかと想えます。


 どういう事か?
 メソポタミアの農耕文化を作ったのはシュメール人といわれていますが、その後バビロニア、アッシリア等の王国の成立を見る事になり・・・詰まりは色々の異なった人種が出会い、混ざり合う様な現象が起こったのではないかと思える事です。
 そして、昔世界史で習った”ハンムラビ法典”。その中に当時のビールの事を規定した条項が幾つか有るようです・・・。


 例えば、

 ・酒場の女主人がビールの代金を穀物ではなく銀貨で受け取ったり、質の悪いビールを客に高く売りつけた場合は「溺死」の刑。”
 なんてのがありまして。
 これが私の興味を引くのです。


 この条項から判る事は、

 先ずこの時期(紀元前1700年位)に既にバビロニアにビールを飲ませる酒場が成立している事。
 酒場という物が成立するような都市が誕生していたといっても良いかも知れません。


 それから、銀貨の流通も始まりつつあったという事。
 しかも何故か酒場では使えないという事。

 この辺りの条項から、私はこの時期に異なった価値観を持つ人々が狭い地域に集まる空間。詰まりは「(ある種現代的)都市」が成立していたと思える訳です。
 其処に銀貨を積極的に使用する。ある種の「商人」が活躍している事も。

 また同時に人々の内に、その貨幣(銀貨)という物に違和感を覚える意識も存在していたのでは無いか?という事。

 そして其れ故「酒場」という雑多な人々が集いかつ酔っ払うというある種プリミティヴな空間では、銀貨の使用が問題視されたのでは無いのか・・・・?

 こんな事を想像します。

 
 違った言い方をすれば、多様な価値観を持つバビロニアという多民族国家が成立した事に拠り「ハンムラビ法典」という”成文法(LOW)”が必要とされ、生み出されたという事(恐らくは、最古の法典であるウル・ナンム法も同様に)。
 
 そしてこれが後のギリシャ~ローマ~中世~近代ヨーロッパ~現代(グローバリズム、世界国家・国連)へと繋がっていく嚆矢であろうという事。


 一方でエジプトは、貨幣というある種不自然な(汚れた)存在を積極的に使う人々(貨幣によって他者や社会を支配しかねない人々)、詰まりヘブライ人(のちのユダヤ人)をオミットする事で、ある種古典的な農本主義的社会を守っていったといえるのかも知れません。



 何だか、ビールの話が変な方向に行ってしまいましたが・・・・。
 しかし人類の歴史、この「貨幣」という不自然でかつ強力な存在とどう付き合うか?という足掻きの記録なのかも知れない等とも想ってしまいます。

 たまにはビールを飲みながらこんな事を考えるのも楽しいかも知れません。

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2012/06
23
[ #398 ]

ワインのはなし 2

 農耕が定着、穀物が安定的に生産できるように成るにつれ、穀物から作られる酒(ビール)がアルコール飲料の主流に成った訳ですが、では果実酒(ワイン)はどうなったのか?

 勿論エジプトでもメソポタミアでも造り続けられたようです。ただし、少しあり方が変わった様に想われます。
 理由は色々と有るでしょうが、結論から言えば高級品になったであろうという事。


 一年を通してある程度安定的に造られるビールに対しワインは葡萄の収穫期しか造れない。
 もしかすると、これが大きい理由かも知れません。

 年中口に出来る様になった穀物に対し、特定の時期にしか口に出来ない果物はそれだけで希少性が有りますし、趣味性も強い気もします。現代でも果物の事を「水菓子」と呼んだりしますからね。

 また、その血液を連想させる赤い色も理由の一つかも知れません。

 気候の問題もあるかも知れません。エジプトやメソポタミアの気候が、どの程度葡萄生産に適していたのか?
 現にメソポタミアで消費されるワインの多くはコーカサス地方(今で言えばグルジア辺り)で造られた物が多かった様です(と言いますか、ワインの原産地がその辺りとも言われています)。
 そうなると、輸送中の品質保持の問題や輸送コスト等々の問題も生まれるでしょう。

 また(酒の薬理効果の主役としての)アルコール度数の高さというのも重要な気がします。

 他、果糖由来の甘さ。
 実際世界の多くの人々が飢餓の心配をしなくて済むようになるのは20世紀になってからでしょう、其れまではやはり美味しさ=甘さ、と言う面は否定でき無かったと想われます。
 

 これらの理由からワイン=高級品。或は特権階級の飲み物という価値観が生まれた気がします。


 そして実は、今でもワインにはそのイメージは着いて廻っていると想えます。
 勿論現代では生産量の増加、生産システムや輸送システムの発達に拠りデイリーワイン等安価な物も多く、日常的に飲める事になりましたが、それでも一部の高級ワインは明らかにそうした面(ブランドとしての意味)が色濃く残されている気がします。
 たまにオークション等で古いワインが驚く程の値段で落札されたりするのは、そうした事でしょう。

 ツタンカーメンの墓にワインの壷が副葬されたりしていたのも、其れを証明している様に想えます。



 話は変わりますが昨年の秋に、あるお客様の引越し記念の宴会でグルジア産の赤ワインと赤のスパークリングワインを味あわせていただいた覚えがあります。

 その味は・・・・・?

 共にかなり甘さが強く、また恐らくはアルコール由来と思われるある種の重さも強く感じました。現代的な基準から言えば、繊細さの感じられないワインとなるのかも知れません。
 地酒的なワイン、古いスタイルの物と評価されるのかも知れません。

 しかしそれはそれで非常に興味深かったですね。

 ワインに限らず多くの洋酒。今でも地中海的、或は南部ヨーロッパ的な物と、北部ヨーロッパ的な色の物といった見方が出来るかも知れません。
 カトリック的、プロテスタント的。と言っても良いかも知れません。
 そして其処には、それなりの意味と言う物も見出せそうです。

 そうした意味でも飲ませていただいてグルジアのワイン。そうした古典的なワインのあり方を想像させていただけて嬉しかったですね。

 何だか話がまとまらなくなりましたが、ワインというお酒、農耕が安定した事に拠り、高級品、或は特権階級の飲み物としての地位を手に入れ、そのイメージは現代に於いても消えていない様に想えますし、色々のシーンでそれが顔を出してくる様にも想えます。

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2012/07
15
[ #404 ]

ワインのはなし 3

 中東付近で高級な酒としてその地位を築き、生産や流通も始まったワイン。その後はギリシャでも生産が始まり・・・(他、エジプトを経てアフリカ大陸の北を通ってガリア地方の南部に伝わるというルートもあった様ですが・・・)。


 そうギリシャ(最近、経済的に追い詰められている報道ばかり目立ってますが・・・)、現代西洋思想の原点古代ギリシャ・・・。
 その古代ギリシャの酒というとやはりワインというイメージが付きまといます。

 ホメーロスのオデュッセイアしろ、それを基としたユリシーズにしろ其処に出てくるのはやはりワイン(ユリシーズが巨人を酔っ払わせて倒す行為、八岐大蛇を連想したり・・・)。


 オデュッセイア 
 本棚の隅に転がってました

 勿論、麦を主食としている訳ですからビール(ピノン、或はブリュトン)も飲まれた筈ですし、ネクタール(神酒)は蜂蜜酒(ミード)とも考えられたりしますが、やはり主役はワインと思えます。


 では?古代ギリシャでワインはどの様に飲まれていたのか?


 ここで登場するのが「シュンポリオン(シュンポシオン)」というキーワード。現代のシンポジュウムの語源となった言葉です。

 ワインを酌み交わしつつ、詩や音楽等の芸術、また哲学や自然科学等の科学等々を主たる話題とした酒宴。
 (そういえば十数年前、国民文化祭ひろしまにて東広島で開催された”酒と文化の祭典”という公演を聞きに行った覚えがあります。主賓は発酵学の大家”小泉武夫先生”、後半はシュンポリオン的にお酒を飲まれつつ他のパネラー方々と語り合うという形式だった記憶があります)


 そして此処で飲まれていたのが水(場合によっては海水)で薄められた(恐らくは赤)ワインです。
 (割合は、ワイン1に対し水が2~3とか・・・)
 何だか薄くて不味そうですが・・・。

 何故こんな飲み方となったのか?
 

 想像ですが・・・。

 それまでの酒の飲まれ方と言うのは収穫祭等の祭の時、つまりはハレの場での飲酒が主流であった様に思われます。言い換えれば皆で酔っ払う事、非日常を体験する事、それに拠る一体感・・・等々を目的とした酒宴だったと思われます。

 それに対し古代ギリシャの酒宴は、かなり日常的な行為であるという事。

 古代ギリシャ。アテナイ(アテネ)やスパルタ等の都市国家の成立といった面でも語られますが、都市という過密な空間で生活するという事は、それなりの理性やマナー、規則の厳守を求められる面も出てくると思えます。
 またそれが発想の自由さをも奪う故に、思考の固定化をほぐして新しい斬新な発想を生み出す為の飲酒と言う行為。或は飲酒をしながらの議論、会話という事も求められた気もします。


 また其れは”泥酔する事に対する禁忌”も強力に生み出した様にも思えます。
 其れ故の薄めたワインでは無いのかと・・・。


 そこに、飲酒に拠る発想の広がりを求めつつ泥酔を避ける飲み方という、都市生活者の飲酒形態が生まれた様にも思えるのです。


 

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