2009/10
29
[ #104 ]

 神無き月十番目の夜  飯島和一

          神無し月十番目の夜

 神無し月十番目の夜  飯島和一  1997・6  河出書房新社
 ジャンル  歴史・時代小説


 読み始めは少し入り辛いのですが、読むほどに引き込まれる本です。

 ストーリーは、小生瀬村(現在の茨城県北部、大子町辺り)を舞台に、関が原の合戦の後の大名の移封に伴って起きた惨劇を書いた物です。

 それ故、戦国武将物や幕末の英雄譚の様な爽快感は無いですが、私としては色々な面で記興味深く読め、また考えさせてくれるお気に入りの小説です。


 どの辺りが面白いかといえば・・・、
 鎌倉武士辺りから言われ始めた”一所懸命”と言う武士の生き方。この一所とは、単なる土地ではなく、その土地に長年暮らす人々、またその人々が暮らす事に因って生まれた”しきたり”で有るとか、慣習・習慣であるとか、思いであるとか、歴史、文化・・・、それらを全てを含め守る。これが武士、と言うより郷侍の一所懸命であると思わせてくれる事かも知れません。


 そしてその地域性を破壊するのが、天下統一(それはグローバリズムと言っても良いかも)の一つの面で有る事を感じさせて呉れます(秦の中国統一にしろ、ローマにしろ、19世紀以降の市場経済主義にしろ、その反動のマルクス主義にしろ、一つの価値基準で地域のしきたりなり文化を判断し押しつぶす行為が、もしかすると人類の歴史の正体かも知れません)。

 それ以外にも農業・民俗等の事が上手く盛り込まれてあり、ジャンルを超えてお気に入りの本です。
 またこの著者、この作品以外でも個人的には外れの無い作家です。
 
  ますた

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