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2018/11
17
[ #1063 ]

心中しぐれ吉原

 遊郭文学というジャンルが存在するかどうか良く判らないのですが、遊郭や色街を舞台とした小説等、昔からそれなりの数が存在いていると思われますし、また遊郭跡等に惹かれる私としは結構好んで読むジャンルといいますか。まあ嚆矢としては江戸中期頃に流行った”洒落本”辺りがそうなる気もしますし、或いは師宣の浮世絵作品等が言ってみればそうともいえそうですし。

 其れはさて置き、”小説”というもの基本的にフィクションでしょう、そしてその架空の物語において何かを表現といいますか書こうとしている訳でして、そしてその為に色々と舞台設定も考えられる訳でしょうが、結果として作品がその舞台設定に束縛されたりする面も当然あるわけでしょうし。
 (まあ、故にある種のSF作品等はその舞台設定の影響を嫌ってあえてSFというスタイルを選んでいる様にも思えてたりも・・・)
 
 そしてまた、場合によってはその手段たる舞台設定が目的となってしまったりする作品もまま見受けられる気も・・・。
 (所謂、ペパーバックやノベルズといわれるジャンルなんてそんな感じが多い様な・・・)

 そう遊郭を舞台とした小説にもまま有るのですよね。
 勿論其れはそれで悪くない気もしますが、やはり何かを書きたくて書かれた作品の方が読み応えがあるというか・・・。
 そう、そうした作品を何冊か読むと余計に著者の個性というか筆力というか思いというかが感じれる気がするのですよね。


 前置きが長くなりましたが、最近読んだそうした小説で結構読み応えがあったのがこの作品。


  心中しぐれ吉原


 著者は山本兼一氏、”利休にたずねよ”が映画化されたので代表作ですかね?

 京都出身&元々は僧侶の家系ということか、濃いといいますか、どろどろしてるといいますか、えぐいといいますか、深いといいますか・・・・、兎も角雰囲気がありました。

 この作品、寛政初期の江戸吉原周辺が舞台という事で、その京都的雰囲気の文章が”粋と張り”を売りとする吉原に合うのか?という意見も有りそうですが、これが良かったのです。
 (逆に嶋原辺りを舞台とすると、それこそドロドロの和事的になりそうですかね?)

 主人公は当時の通人の代表格ともいえる蔵前の札差という設定、これも面白いといいますか。
 当時の資料等も当然しっかりと調べられていらっしゃる感じで、且つ、その資料等に引きずられない書き方は見事私好みでした。
 (そう、遊郭関係、それなりに資料等も多いようですが、それ故に資料に引きずられ易いというか、そうした小説作品も多い印象)

 また著者最晩年の作品で、恐らく著者自体自らの寿命を悟った上で執筆されたのでしょうが、その所為か後半特にある種の”暗さ”の様なものが強烈にあり、これがまた特徴というか、印象深いというか・・・・。人間の業というか情というか、人生の無常というか・・・・、兎も角そうしたことを感じさせられ、人間の生・性、という物が描かれている感がありました。

 良かったです。

 

 




 追記、
 唯一つ気になったのは、装丁画。
 舞台が寛政初期の江戸吉原なのですが、この絵の風俗はもう少し後ですよね?
 作者の問題でもないですし、これはこれで雰囲気ではありましたが。
 



 追記 2

 もう一つ同時期に読んだ小説。


 女は沖を漕ぐ


 戦後の御手洗遊郭を舞台設定としたミステリー小説

 装丁の写真は御手洗の”おいらん公園”という事で図書館で衝動借り。

 これは出版社が”カストリ出版”という会社ゆえか、見事カストリ小説といった感じ。
 正に舞台設定のみといますか・・・・。
 まあこれはこれで、三文小説っぽさを楽しませていただきました。

 

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