2008/12
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[ #11 ]

 雑考 2 山登り

  私自身はしないのですが、たまに店で山登りや岩登りの話題になることが有ったりするのですが、実際に経験の殆んど無い私が、山登りと聞いて思いつくのは・・・、


 

 


 ”そこに山が有るからだ”の言葉です。


 あまりに有名な言葉で、多くの方が耳にされた言葉だと想います。この言葉、登山の多くの魅力を一言で切り取り、禅問答的でも有り、いかにも登山家の達観を思わせる言葉に感じます。私も漠然とそう想っていたのですが、いつからか、疑問を持つようになりました。


  いったいこの登山家はどのような気持ちで、この言葉を発したのか?

 私が思いつくまま述べますと・・・、


 1.登山の魅力を一言で表すにはこれしか無かった
 2.登山家自身、自分が山に登る理由が解らなかった
 3.質問に対する怒り
 4.理解されない事に対する絶望 
 5.その他
 
 位は思い付きます。


 で、これらを私なりに検証してみますと、


 1.の場合・・・、 質問者が登山経験の無い人間であったばあいには、まるで切り捨てた様な不親切な印象を受けます。
 他方、彼の弟子の様な立場の人間であった場合には、いかにも禅問答的で、いい感じですよね。

 2.の場合・・・、 登山家自身がすでに登山中毒的なまでに登山にはまっていた場合。
 たとえば、アル中的酒飲みに、なぜ酒を飲むのか?と質問したときに、酒が有るからさ・・と答えられたと時と同じ状況。

 3.の場合・・・、 たとえば、メジャーリーガーのイチローに、野球を知らない記者が、”あなたにとって野球とは何ですか?”などと陳腐な質問をした場合。恐らくイチロー選手は、怒りと軽蔑のこもった視線とともに質問者を無視すると想います。これに近い場合。

 4.の場合・・・、 私はオートバイに乗るのが好きで、若い頃は、結構一生懸命乗っていたのですが、その理由の大きな部分を占めるのは、”それが危ない乗り物であるから、危ない行為であるから”、でしたが、そんな時、多くの方は私に、”何故あのような危ない乗り物に乗るのか?”と質問、忠告を下さいました。
 そのときに私が感じたのは、理解されないという事実。
 こんな場合ですか。

 5.の場合・・・、  例えば、質問者が、同じ登山家であった場合など・・・。より互いの複雑な心理が反映されると想われます。


  結局、質問者と登山家の関係が解らないと答えは出ない訳で・・・。


  で、ちょっと調べてみました。

 この言葉を残したのは、”ジョージ・リー・マロリー”英国の登山家で、1924年、もしかしたら、世界で初めてエベレストの山頂に立ったかもしれない男性。
 立ったかもしれないと書くのは、その日彼は最終キャンプを出発、その数時間後順調そうに登っている姿を確認された後、消息を絶った為です。
 因みに、1999年に遺体が確認されました。

 質問者はニューヨーク・タイムスの記者。
 記者がマロニーに”あなたは何故エベレストに登るのか?”との質問を何十回と繰り返した後、マロリーが発した言葉。
 ”そこにそれが有るからだ”

 ここが元でした。
 詰まりは、3のパターン。無作法な記者を切り捨てた言葉だったのです。
 
 一寸スッキリしました。
 しかし、何故この言葉の真意が間違って流布したのか?
 まあ、記者が歪めたのでしょうが・・・・。ホンと、マスコミって奴は・・・。


  しかし、想うのですが、人に質問をする場合には、それなりの礼儀と繊細さを持ちたいですね。もちろん職業記者の方たちには、相手を怒らせ本音を聞きだすなんて手法も有りでしょうが・・・。
 ”私は自分を客観的に見れるんです、あなたとはち違うんです”  ? なんてね・・・。


  特に相手のプライベートに関する質問は気を使いますよね。答える場合にも。
 私もしばしば聞かれます。

 ”何故バーテンダーをしてるのですか?”

 私はこう答える事が多いです。”色々有って一言では言えないです”
 これが本音です。
 ですから、その先は聞かないで下さいね。そのうち、何度か話しているうちに感じていただけると想っておりますので。 

 ますた

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