2010/01
23
[ #134 ]

 悪人  吉田修一

 
         悪人

 悪人  吉田修一  2007・04  朝日新聞社
 ジャンル  エンタテイメント


  

 書名に惹かれて購入したのですが、好かったと思える本です。

 一言で言うなら、”現代を舞台とした市井物”、でしょうか?

 市井物の定義をどうするか?という問題もありますが・・・、私としては”近松門左衛門”作の世話物の様な話が市井物、ですかね?
 貨幣経済の残酷さと、人間関係のしがらみに苦しみながらも、真っ当に生きる、あるいは真っ当に生きようとする男女の話。こうした話で、江戸時代を舞台として書かれた物が、市井物と呼ばれているのでは無いでしょうか?
 え?近松の作品と言えば、心中物。真っ当に生きるのではなく。死ぬ話では無いですか?等といわれそうですが、”自死”と言う結末の人生を、自らの意思で生きる事と決めた人間の生を描いていると捕らえれば、近松の心中物の主人公も、私に言わせれば、やはり”真っ当に生きた”と言える気がするのです。(別に、心中を奨励する訳では無いですが・・・)  (そういえば最近、男女の心中話のニュース、あまり耳にしないような・・・、男女関係のあり方がどこか変わったのでしょうね。)

 
 そうしや観点からするとこの小説、舞台こそ現代ですが、描き方、話の展開、ラスト等、市井物と言いたくなります。(心中して(死んで)終わる訳では無いですが・・・)
 まあ、ストーリーの事を細かく書いても仕方ないので・・・。
 私としては、お勧めの本という事で・・・。

 しかしこの本、結構売れたように思えるのですが、この手の小説が売れるという事は、今の時代”しがらみ”とか”時代の空気”に足掻いている人が多いのかも知れませんね。

   ますた

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