2010/02
15
[ #141 ]

 夜這いの民俗学・夜這いの性愛論  赤松啓介

   
       夜這いの民俗学

 夜這いの民俗学・夜這いの性愛論  赤松啓介  2004・6  ちくま学芸文庫
 ジャンル  民俗学



 我が国の近代民俗学の嚆矢は、恐らく明治政府が対外政策、海外進出の為に、旧帝大に行わせた事では無いかと思うのですが、それは有る面、上からの民族学といえるのではないでしょうか。
 もちろんそれはそれで意味のある事でしょうし、また旧帝大系の民族学にも、柳田国男の様に現場からの民族学を成された方が在るのも確かだと思います。
 しかしそれもでやはり、今流行の言い方をすれば、上から目線の民俗学のくびきは逃れられないのでは、ともおもいます。

 そしてこの本は、そうした上から目線の民俗学が避けてきた幾つかのテーマの内の一つ、”性”について挑んだものです。


 内容は勿論、夜這いの記録・研究なのですが、貞女をもって日本女性の鑑とする我が国に、こうした風習が戦後まで残っていた事を信じられない方も多いかも知れません。そんな内容です。

 しかし、私が年配の方にお話をお聞きしたりした限りにおいても(地方にによってかなり違いもあるでしょうが)、昭和30年代初頭頃まではある程度残っていたように感じます。


 では何故、こうした風習が有り、またその時期に消滅に向かったのか?

 勿論、この風習が存在した理由は、比較的閉じた地域社会(村社会)(群れ)において、新しい血を入れ、血が濃くなる事を避ける種族保存の本能から来たものでしょう。他の霊長類でも、何等かのやり方(オスが群れを離れるとか、メスが離れるとか・・)を持っている気がしますし。また祭りと言うハレの空間に比較的限定される事により、ケ(日常)の秩序を維持する意味もあったのでしょう。
 我が国以外でも南方の地方には広く見られる気もします。

 では何故、あの頃に無くなったのか?
 その大きな理由の一つは、やはり地域社会への帰属意識の解体ではないでしょうか。敗戦により、西洋型の個人主義の導入による自我の拡大。また、農地解放による地域の繋がりの減少、習慣的行事の意味の減少・・・。
 勿論、婦人の人権擁護意識、運動の拡大も影響したかも知れません。(売春禁止法もこの時期ですし)

 そうしてこの時期、夜這いをかけた男が婦女暴行で訴えられるといった事も起こり始める。それはある種、地域社会の不文律よりも、成文法(新憲法)が上回った時期なのかも知れません。


 閑話休題、地域社会に帰属意識を無くした人々は(特に男は)どうしたのか。
 勿論、強固な自己を築き孤独に打ち勝って生きて行ければ良いですが、基本的に人間は社会的(群れを作る)動物。中々難しいのでは?

 そこで恐らくは、地域の代わりをしたのが、企業なのでしょう。年功序列、終身雇用もその査証ですよね。しかしそうした企業に就職出来なかった人間、或いは終身雇用の壊れた現代では・・・?
 恐らくは、新興宗教、政治団体、同窓会、暴走族、趣味のサークル、家庭・・・、等々がその対象になったのでしょうが・・・。で、家庭に帰属し過ぎると、引きこもりとか、逆にDVとか・・・・。
 
 昔の地域社会の存在感が強かった時代が良いのか、今の様にグローバル(ある種、民主主義か?)が良いのか私には判りませんが・・・。不文律(お約束)の無くなった社会は残酷な気がします。

 そんな事を考えてしまった本でした。(全く、本の紹介になって無いですね・・・)

 ますた
 

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14時すぎに やす さんから

2010/02/15(月) | URL | #-

2010/02/15 - ■■■

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