2010/03
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[ #149 ]

 陸を行き交う樽廻船  松本津々二

              陸を行き交う樽廻船

 陸を行き交う樽廻船  松本津々二  2005・05  
 ジャンル  日本酒


 私が店をさせて頂いている酒都西条(広島県東広島市西条)の酒造業界の発展の歴史を、海上(水上)輸送から鉄道(陸上)輸送への流通の変化の面を中心に書かれた本です。


 船から鉄道への流通の変革は酒造業界だけでなく多くの業界、あるいは都市の発展等、人々の生活に大きな変化を与えたのは確かでしょう。故に、鉄道網の発達こそが近代文明の象徴と観ても良いのかも知れません。我が国に於いて、鉄道の開通が文明開化の象徴的に語られる事も、強ち大げさでは無いと想えますし、また西洋に於いても、鉄道が近代文明あるいは産業革命の象徴と見られる事も同様に想われます。

 鉄道輸送の迅速性、安定性、定時性、効率性等の利点が、明治から戦中にかけて産業を発展させ、また水上輸送から、長大物件以外の輸送を奪って行った事は確かでしょう。そしてこの鉄道輸送を上手に利用できた都市、産業が発展していった、という歴史を考えさせてくれる本です。

 それと同時に島嶼部、潮待ち港の衰退(この辺りに関しては、貨物船の形式の変化・・・和船→相の子帆船→西洋帆船→汽帆船→動力船・・・であったり、戦中の貨物船、大型漁船、等の徴用であったり、売春禁止法の制定であったりも考えなければいけないかも知れませんが)、河川の水運(あるいは、それによって成り立っていた町・河岸)の衰退も招いたであろう事も・・・・。

 また、現代の様に各種の通信手段が発達する以前は、物流と共に情報も流通していた事も感じさせてくれます。
 
 そして鉄道輸送を上手く使いこなし、酒都西条発展の基礎を作った木村和平氏が、海岸の街、”広”出身(養子に来た)と言うのも興味深いです。江戸期流通の中心であった瀬戸内の港町出身であったからこそ、流通の重要性、鉄道輸送の力(水運業者からは脅威でしょう)を身にしみて理解されていたのでは・・・、等と想わせていただける本です。
 
 ますた
 

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