2010/05
16
[ #171 ]

 雑考34  ロートレック

 前々回の蔦重から、歌麿~ロートレックと続けますと、ほんとにしりとりと言うよりは連想ゲームですね。私の脳みそは所詮この程度です。(ロートレック、女性に対するさめた視線は歌麿と言うよりも、英泉的という気もしますが・・・)


 閑話休題、ロートレックの作品に興味を惹かれます。

 勿論、私の様な水商売の人間からすると、ロートレックの作品から漂ってくる夜の香り、酒の香り、女性の香りに惹き付けられるのは仕方ない事かも知れません。しかしそれだけではなく、彼の作品全体に感じる、ある種の”暗さ”に惹かれるのです。

 その暗さは、はたして何処から来ているのか?気になるのです。
 
 考えられる要因の一つを、彼の身体的問題、及びそこからもたらされるコンプレックスに求めるのは正解でしょうし、またかれの出自から来るコンプレックスも関連しているのも確かでしょう。

 しかし私としては、そうした彼個人の要因以外に、あの時代の空気、環境といった物も要因の一つでは無いかとも想うのです。彼と同時代の画家の作品にも、ある種の暗さを見てしまうのがその理由なのですが・・・。


 ではその時代の空気、環境とはいかなるものか・・・・。

 それは一般に”(19)世紀末”と呼ばれる時代。爛熟とか退廃と言い表される空気。
 そして、その時代のパリという場所。そこで何が起こっていたのか・・・。興味を惹かれます。


 19世紀後半のパリ。そこでは3度の万博が開催され、近代文明、科学文明が実用化された時代。
 この万博(今、まさに上海でも開催されていますが・・・)。科学技術や工業製品が、見世物として成立する事を証明した気がします。勿論、それ以外にも、ありとあらゆる物が見世物として成立する事を証明したと言って良いかもしれません。
 そしてその勢いのままに当時のパリでは、大型百貨店の誕生といった現代的物販スタイル。また、各種大衆紙の刊行といった、マスメディアの誕生。そして何より、近代的科学技術の力により、地下鉄、ガス、電気、写真、映画等々の実用化がなされた時代。

 それは、これらの科学技術の力により、個人の欲望が現実化した(達成された)時代といえるのかも知れません。

 そして、科学技術の力により欲望がある種達成された、当時のパリの人々はどういった心理に陥ったのか・・?



 私が想像するには、一つは、欲望が達成された事による行き詰まり感。(今が人生の頂点といった感じのある種の寂寥感、寂しさのようなもの?)(S・フィッツゼラルドっぽいですかね?)

 そして一つは、欲望を達成させてくれた科学技術の圧倒的な力、また、その科学文明の力がもたらす”未来”に対する”漠然とした不安”(芥川っぽいかな?)(そしてその不安は第一次大戦で現実となるのですが・・・)

 私はこの科学文明のもたらす漠然とした不安感が、実は世紀末の隠された一面(時代観)ではないかと想うのです・・・。

 また、この不安感がロートレック等の作品に暗さをもたらしているのでは・・・・?とも


 もしそうであるならば、近代文明に対する不安を感じたロートレックが、プリミティヴな存在の象徴ともいえる、女性(娼婦)に惹かれたのも当然と思える気がしますし、その不安を忘れるために、アルコールと喧騒に身を浸したのも、尤もと想える気もするのです・・・・。

 相変わらずの戯言でした・・・。

 ロートレック

 

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