2010/09
29
[ #226 ]

 カルチェ・ラタン  佐藤賢一

            カルチェ・ラタン

 カルチェ・ラタン  佐藤賢一  2000・05  集英社
 ジャンル  小説


 小説らしい小説という印象の本です。

 16世紀のパリの街を横糸に、当時のキリスト教の状況を縦糸に編まれた舞台の上で繰り広げられる物語。
 基本的にミステリー仕立てで物語は進んで行くのですが、そこに当時の神学論争がある種骨子として加えられ、物語に深みを与えています。またソルボンヌ(パリ大学)という学問の塔。当時各地に作られつつあったヨーロッパの大学といった存在、またそれらの意義、空気も重要なエッセンスとして加えられています。

 そうして紡がれたこの物語の本質は、主人公”ドニ・クルパン”の成長譚なのです。
 気弱ないい所の坊ちゃんがいかに大人になるか?青年がいかなる通過儀礼を経て成長するか・・・。それが主要テーマです。(そうした面では、山本周五郎の”さぶ”にも共通するか?)
 その辺り、私が物語りらしさを強く感じる理由でしょう。

 また物語中でしばしば繰り返される”神学”をベースとした論争。「言葉の力」といった事を感じさせて呉れます。
 (何だかここ数十年、全ての”言葉”が軽くなっている気がします)

 そんなこんなで、私のお勧めの小説の一つです。

 ますた
 

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