2010/10
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[ #231 ]

 「芸能と差別」の深層  三國連太郎・沖浦和光

          芸能と差別の深層

 「芸能と差別」の深層  三國連太郎・沖浦和光  2005・05  ちくま文庫
 ジャンル 民俗学・文化論

 

 
 三國連太郎氏といいますと最近では、映画”釣りバカ日誌”の”スーさん”こと鈴木社長役としての好々爺のイメージが強いと想いですが、実はこんな本も出されています。

 民俗学・比較文化論等で著名な、沖浦和光氏との対談集です。
 タイトルからも判るように、一般のタレント本とは一線を画す内容です。

 戦後”差別”という言葉が禁句となり・・・?(とくに最近、私にはそう感じられるのですが・・・)メディア等でも差別、或いはそれを感じさせる言葉が使われなくなり、差別問題等に関する客観的議論もし辛くなっている現状におい、こうした本を出されている事に、役者としての三國氏のスケールを感じる気がします。

 恐らく差別(この言葉、使い辛いので、身分制と言いたい)制度は、大規模農業=文明の萌芽と供に出来たのではないかと想像するのですが・・・。

 その時に、社会を責任を持って治める=無益な争いをなくす&外敵=他の侵略から農地・民・財産を守る義務を有する人を貴人。食料を生産する人々を良民。その他を賤民。といった形で始まったのでしょう。
 その他の人々の中でも、特に定住性の低い人々がその後も低い身分に置かれてきたのが、歴史における身分制度の大きな流れの様な気がします。
 そして、芸能を司る人々は、この非定住と非生産の両面で賤民とされた。 
 そうした会話が、広くかつ、解り易く繰り広げられております。
 また沖浦氏らしく、日本人の根底に有る無意識や慣習のあり方の、南方民族との類似性などについても・・・。

 遊所、遊女といった言葉も有るように、遊行民=非定住者と遊び、芸能、の関係は洋の東西を問わず見出せますし(例えば、西洋のロマ=ジプシー)、その社会的地位の低さ・・・(河原乞食なんて言葉も有りますし・・・)と同時に、裏返しの聖性・・・。
 その辺りの事を、広範囲かつ解り易く書かれた本です。

 私も”飲み”という”遊び”の世界に関わっております故、そうした意味でも興味を惹かれる本です。

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