2011/01
31
[ #263 ]

遊女  北小路 建

            遊女

 遊女  北小路 建  1964・01  人物往来社
 ジャンル  風俗史

 書名はそのまま”遊女”。我が国に於ける遊女の歴史を一冊にまとめて書かれた本です。
 まあ遊女といっても歴史的には色々の捉え方もある気はしますが、この本は遊女≒売春女婦の視点にて書かれております。

 古くは”万葉集”の事から、今に残る投げ込み寺の実地調査等もふまえ書かれている本です。

 遊女の歴史(史料)への登場から、この本が著された昭和38年の現状までを1冊にまとめて有り、我が国の遊女の在り様、歴史を知るには中々良い本の様に想えます。

 副題に”その歴史と哀歌”と有るように、全体的に少し”虐げられた遊女”といった視点が表に出るように書かれている様にも思えますが、それは出版時期故かも知れません。

 戦後西洋から民主主義、進歩主義、自由主義等々が色が々な形で流れ込み、そうした視点や組織、あるいは婦人の人権擁護といった視点が強くなった時代。
 そうして売春防止法が昭和31年に成立、翌年実施、33年発効。その5年程後に書かれた本という事故、といった気がします。

 ただ民主主義をもたらした西洋、進駐軍・・・。しかしその占領軍の為に敗戦直後、吉原が占領軍慰安所として再興されたのも事実でしょうし、その為に占領軍慰安婦として女性が集められたのも事実でしょう。また戦後、赤線、青線と呼ばれる場所の成立が性の売り買いに拍車を架け、結局そうした女性の悲惨さを増し、これが売春防止法の成立の力とも成ったのも事実でしょう。

 更に民主主義、進歩主義の力が強くなりすぎた?故か、この頃から反動(的)等という言葉が使われ始める・・・。(この辺り、書きすぎると面倒くさいのでやめますが)

 勿論この著者もその辺り(の空気)、十分に認識されて書かれている気がします。そしてそれ故に、この出版時期であり、この副題なのか?とも勝手に想像を膨らませたり・・・・。


 閑話休題この本、私としては興味深い本なのですが、中でも特に面白く思えたのが、高尾太夫に関する考察です。
 講談等でも取り上げられる”仙台高尾”の吊るし切り。
 かの山東京伝は、仙台候による高尾太夫の殺害は無かったという考えであったそうです(そうして、そうした文献も残されている)が、この著者は高尾太夫の殺害が有ったという視点で書かれていらっしゃいます。

 この高尾太夫殺害の経緯を、江戸の西方寺や仙台の現地調査、あるいは各種文献、そして著者の想像力も含め説明されている辺り、非常に楽しく読めました。
 またその辺りから、著者の遊女、あるいはそれを中心に成り立った文化といった物に対する愛情を感じます。

 更に言えば、”遊び”といった物に伴う文化の奥深さ。そうした事を感じさせていただける本です。

 ますた

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