2011/07
02
[ #301 ]

長崎ぶらぶら節  なかにし礼

                 長崎ぶらぶら節

 長崎ぶらぶら節  なかにし礼  2002・10  文春文庫
 ジャンル  小説

 直木賞受賞作という事で結構著名な作品ですが、好きな小説です。

 恐らくは、実録小説と言える作品なのでしょう。こうした小説、結構好きなのです。
 しかしそうした事以上に惹かれる作品です。

 何処に惹かれるのかと問われても中々答え辛いのですが・・・・。読中も気持ち良いですし、読後感も良いですね。
 まあ舞台が丸山遊郭周辺というのが理由の一つかも知れませんが(相変わらずかよ・・・)、それだけでは無い気がします。

 主人公の丸山芸妓”愛八”も魅力的ですが、それ以上に学者”古賀十二朗”(あるいはその描き方)に惹かれます。
 
 地域密着の学者、その長崎に対する愛情。あるいは覚悟。
 身代を潰し、遊び、記録する・・・。
 その「起きて半畳、寝て一畳」といった姿勢。これが私から見ると見事な学者ぶりと観えるのです。

 この様な言い方は間違いかも知れませんが、有る面学者って好きな事をして生きている生き物ですよね。それは、やくざな生き方とも言えると想います。
 自分の好きなことをして生きている。その自己認識と、それ故の覚悟。
 此処に描かれている古賀十二朗にそれを感じます。
 其処が私としては一番の魅力ですかね。

 また、地域のざれ歌の収集というテーマも魅力的です。
 近代以降、各種音楽は、レコード等の記録媒体に記録され残りますが、それ以前の物(他の芸能も含め)は口伝、伝承により残るだけですよね・・・。
 世間、あるいは経済原則的に、価値を認められない音楽、風俗、芸能等は、唯、ひっそりと消え行くのみでしょう。地域に残る、盆踊り唄(新民謡以前の旧いもの等)なども、これから急速に失われて行くのかも知れません。
  
 そうした、音楽、唄に対する著者の愛情。
 もしかすると、作品全体から感じられる著者の愛情、やさしさ。これが一番の魅力かも知れません。

 人、唄、歴史・・・等々に対する著者のやさしさ・・・・。

 そんな小説です。


次の旅行先は丸山遊郭跡か?(笑)

スポンサーサイト

Copyright © ますた [バーテンダーと呼ばれる程のバカは無し] All rights reserved.

COMMENT:

SECRET: (管理者だけに表示を許可する場合)
 
トラックバックURL :