2011/08
12
[ #313 ]

昔話とこころの自立  松居 友

              昔話とこころの自立

 昔話とこころの自立  松居 友  1994・06  宝島社
 ジャンル  民話・心理学


 昔話・民話を心理学的アプローチで読み解くといった内容の本です。

 こう書きますと「あ~、その手の本ですね・・・、一時期よく流行りましたよね。」等と言われそうですが、秀逸な本だと想っています。


 内容は・・・。

 第1章が「大工と鬼六」の話から、大工の技術=人間の工学技術、鬼=自然の摂理(本文では、鬼=無意識と表現して有りますが、自然の摂理と読んだほうが私としては解り易いと想います)と読み解き、自然の摂理(無意識)を理解する事の重要さを示して有る話としてあります。

 同様に第2章では「三びきのやぎのがらがらどん」から、人間は幼児~少年、少年~青年、青年~大人。といった3度の精神的通過儀礼(反抗期)を経て成長するという事。

 第3章で「三びきのこぶた」から、前章同様の3度の通過儀礼と同時に、昔話の持つ残酷な表現の意味について。

 第4章「ヘンゼルとグレーテル」から、子供と母性について。

 第5章「三枚のお札」から、日本の母性、またその情緒的濃さ、母と息子の日本的関係(やもするとマザコンを造り出し易い)を。

 第6章「白雪姫」で、母と娘の関係性を・・・。

 第7章「てんぐのこま」で、少年が自立し、大人社会で生きていく事について。

 第8章「桃太郎」から、まとめ、及び日本人の深層について・・・。

 といった感じです。


 そこで何処がこの本の魅力か?といいますと・・・。

 この本、一貫したテーマがハッキリしている事。あるいはそのテーマ設定かと想われます。

 それは・・・。

 人間はオギャ~と生まれ、幼児から、自我が芽生え少年になり、更に青年となり、親離れして大人となり、大人の社会に参加し(あるいはそこで、周囲から叩かれ)、結婚し、子供が出来、子供の成長に戸惑い、そして子離れを成し遂げ・・・・。と、こうして生きていかなければいけないという事。

 そうしてその人生の場面場面に於いて、”昔話を読み聞かされた事、あるいは子供に読み聞かせた事が非常に助けに成る(あるいは成っていた)という事”。

 そうしてだからこそ昔話が語り継がれて来たで有ろう事。またその魅力を伝えてくれる事。此処に有る気がします。


 高度成長期以降、親離れ・子離れの問題、更に最近ではネグレクトや虐待・・・。他、色々の家族の問題が噴出している気がします。その辺り考える時にも一寸役立ちそうな本でも有ります。
 近代以前の当たり前の良さ。あるいは人間の共通無意識に潜む親子観、成長観なんて事も感じさせて呉れる気もする本です。

 

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