2011/08
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[ #316 ]

江戸夜咄草 聞き屋与平   宇江佐真理

                 聞き屋与平

 聞き屋与平  宇江佐真理  2006・05  集英社
 ジャンル  時代小説


 両国広小路の薬種屋の隠居”与平”が、日の暮れた後に店の裏口辺りで聞き屋(辻占の様なやり方で、黙って客の話を聞く)という商売?をしている。という設定の連作時代小説です。
 この著者らしく優しさを感じる時代小説となっています。

 私が口を汚させていただいておりますバーテンダーという仕事も、お客様のお話を聞く(聞かせていただく)という要素も多く、そうした面で気になった時代小説でもあります。


 しかしそれ以上に衝動的に購入に至った理由があります。

 それはこの帯。

 帯

 本の帯に惹かれ(騙され?)ついつい購入してしまう本というものが有りますが、その一つです。

 では何故この帯に惹かれたのか?

 帯に大きくこう書かれております。

 「お話、聞きます」



 実はこの本を購入した時点で、私の手元にこういう本が在りました。

 お話、聞きます

 お話、聞きます  枚方バンダム  2004・05  徳間書店
 ジャンル  自伝


 これはドウいう事か?
 ついつい興味を引かれ(怖い物観たさ?)購入してしまった訳です。
 (みごとに、帯にやられてますな・・・)

 枚方氏の「お話、聞きます」が2004年5月の初版。対して「聞き屋与平」の初版が2006年5月。
 当然、この帯を書かれた担当者は「お話、聞きます」の本の存在は了解していたでしょう・・・。
 これって有りなの?

 内容に関しては与平に収録されている話の初出が、2004年6月号の「小説すばる」なので微妙なタイミングです。が・・・、もしかすると編集者が作者にアイデアを提供したのかな?等と穿ってみたり・・・。

 まあ、あまり穿ちばかりしても仕方無いですし、初めに記した様に著者らしく優しい時代小説で、内容は悪く無かった印象です。


 またこの二冊の本のテーマ。他者のお話を聞く、或は聞かせていただくという事、行為。そして私自身がカウンターを挟んでお客様の話を聞かせていただいているという現実・・・。
 そこで、どうした印象を感じたのか・・・。

 この二冊の主人公、基本的に聞き役に徹しアドバイス等は極力しない・・・。
 また、おあし(代金)も基本的に受け取らない(与平の場合は心付という形で受け取ったりしますが)。

 これはやはり私がしている事とは、少々異なる気がします。
 確かに私が頂く代金は少々のシートチャージ料と、飲み物代金であり、お話を聞く事で特別な料金を頂いている訳では無いので同じと言えば同じなのですが・・・。

 また本では常に相手と1対1ですが、バーでは1対多の場合も多い。

 バーテンダーという職業、色々のやり方をされる方があり、確かに聞き役に徹するというスタイルの方も多い様に想います。・・・・が実は私はかなり喋(会話)ります。

 等々、かなり異なります。


 ただ想うのはやはり。
 喋りたい、自分の話を誰かに聞いて貰いたいという方が多いという事。
 それによって自己を承認して貰いたいという気持ちを多くの方が持っているという事。

 確かにそうなのかも知れませんし、そうした時間があって良いのかも知れません。


 では何故私はカウンターの中で聞き訳に徹し無いのか?

 理由は色々有りますが、私はやはり”会話”という事が好きなのでしょう。
 会話。色々の方、或はお互いの言葉、会話が混ざり合い、空気が何かが生まれる感じ。或は会話が高まっていく事。其処から、何かが生まれた気になる事。
 (もしかするとジャズに似ているかも知れません)(まただからこそ、バーにはジャズが似合うのかも知れません)

 そんなところです・・・・。


 色々書きましたがこの2冊、興味深い本です。

 ますた

 

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