2011/11
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[ #343 ]

忠臣蔵 元禄十五年の反逆  井沢元彦

                  忠臣蔵

 忠臣蔵 元禄十五年の反逆  井沢元彦  1992・12  新潮文庫
 ジャンル  歴史ミステリー



 「逆説の日本史」シリーズで著名な井沢元彦氏の書かれた歴史ミステリーです。
 文庫版は1992年の出版ですが、初出は1988年という事で「逆説の日本史」より前。そうした意味でも「逆説の日本史」に繋がる著者の原点を感じれる作品ではないかと想います。

 内容は歴史ミステリーという事で、現代を舞台に主人公がミステリー仕立のストーリーの中、忠臣蔵の謎に迫っていく、といった物です。

 忠臣蔵の謎?それって何ですか?といった感じですが・・・。
 忠臣蔵に関し少し整理してみますと・・・。


 1、元禄14(1701)年3月14日、江戸城松之廊下にて浅野内匠頭が吉良上野介に切りつけ、その事に拠り内匠頭は切腹、浅野家は城地没収・絶家の処分を受けた・・・。
 (松之廊下事件)

 2、元禄15年(1702)12月14日深夜、浅野藩の浪人の内、大石内蔵助を筆頭とする47人が吉良邸を襲撃した。
 (赤穂浪士討ち入り事件)

 (この2つ事件を総称し赤穂事件とも呼ぶ)

 3、この事件から約50年後の寛延元(1748)年、浄瑠璃作家の竹田出雲他が浄瑠璃劇「仮名手本忠臣蔵」を作成、初演。後に歌舞伎化され人気をはくし、現代まで繰り返し上映されている。

 4、この忠臣蔵人気により、現代では赤穂事件を「忠臣蔵」と呼ぶことも多い・・・。

 となりますか・・・。


 そこでこの本で著者が言いたい事は、赤穂事件は史実であり、忠臣蔵は歌舞伎(ドラマ・フィクション)であるという事。
 しかし現代に於いては歌舞伎のストーリーが史実と捉えられている事。
 では実際の赤穂事件(史実)とはどうであったのか?という謎解きをしてみようという事。


 それでは史実の赤穂事件とはどういった事だったのか?

 まあまりネタばらしをし過ぎても如何とは想われます故簡単に記しますと。


 ・元禄14年松之廊下にて、浅野内匠頭は歩いていた吉良上野介の背後から「この前の遺恨覚えたか?」と叫びいきなり切り付けた。
 ・吉良上野介は反撃(抜刀)しなかった。
 ・この事にに拠り浅野内匠頭は切腹(殿中での抜刀は即座に切腹が当時の決まり)。
 ・浅野家は城地没収、家名断絶の判決(これも当時の決まり)。
 ・吉良上野介は、抜刀しなかった故お咎め無し(これも当時の決まり)。


 何が問題なのか・・・・?
 それは浅野内匠頭が吉良上野介に抱いた「遺恨」。この正体が実は解っていないという事。

 忠臣蔵で描かれているような度を越えた嫌がらせはありえない、という事。
 (歌舞伎では高師直の塩谷判官に対する執拗な嫌がらせに拠り、判官の堪忍袋の緒がキレルのですが・・・)

 また賄賂の強要も無かったと想えるという事。
 (教えを請う相手に謝意を見せるのは当たり前の事ですし・・・)
 (最近人様に物事を教えて頂いて当然、という感じの方が増えている気もしますが、聞きたがる、質問攻めにする、詰問する・・・・・・・。見っとも無い気がします・・・。)


 では浅野内匠頭の遺恨とは?刃傷の理由とはなんであったのか?
 まあ内匠頭、本人の内面には有ったのでしょう・・・(世間的には、理解されない)。

 どういう事か?
 作者は内匠頭は乱心した(精神異常であった)と論じます。

 ではこの事で何がどう変わるのか・・・。


 殿中で抜刀した場合、当人は切腹。 これは変わりません。
 ただし本人が乱心(気が触れていた)の場合は、城地没収、家名断絶は行われないという事。
 (現代でいう刑法39条の様な物ですね)

 しかし史実はここで家名断絶と成った。という事は、幕府(綱吉)は内匠頭は乱心していない(正気である)と判断した訳ですよね。

 しかし大石内蔵助は内匠頭の乱心に気付いており・・・・・。



 とまあ、こうした見解の内容です(100%ととは言いませんが、結構好首肯も出来ます)。

 好みにも拠りますが面白い本です。
 私も若い頃読んだ時は ”そうだよね、だからTVドラマとか歴史小説は駄目なんだ・・・”と結構熱くなったり・・・・。
 (尤も今では歳も重ね、もう少し多面的見方も出来る様に成ったのかフィクションはフィクションとして楽しめます)
 
 またそれ以上に著者である井沢氏の(逆説の日本史にも繋がる)スタンス、姿勢が良く出ている本という気がします。

 では著者の基本的スタンスとは何か・・・?
 私が想うに・・・。

 それは「虚構の物語が史実であるかの様に錯覚される怖さ、誤った巷説を覆す難しさ」。
 こうした現実に「プロテスト」(反抗)する事。
 この「プロテストする事」なのかと思えます。


 閑話休題、
 この「忠臣蔵」というテーマは面白いですね。
 私も私なりに忠臣蔵と聞いて考える事も有るような、無いような・・・。
 気が向いたら何時かその辺りの事を書く事があるかも知れません・・・・。

 ますた
 

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