2012/01
20
[ #358 ]

戯言 2012年1月 (昨年読んだ本から)

 昨年もボチボチと本を読んでいた気がします。
 読書ノートをつけている訳でも無いですし、気の向くまま読み飛ばしていた訳で何冊程読んだかは定かでは無いのですが、その中から印象に残っている本を何冊か・・・。


 先ず、1つ。

 「少年殺人者考」

 著者は井口時男という方。図書館本です。


 内容は書名通り、戦後の未成年殺人者の内面、及び背景を著者が考察する。といった物です。
 神戸の酒鬼薔薇事件の後辺りからこういった内容の本、新書・小説等を含め多量に出版された印象も有り、何を今更といった気もしたのですが読んでみるとこれが面白く・・・、印象に残ってます(古本屋で探すかな?)

 他のこの手の本との違いと言いますと、著者が文芸評論家である事が特徴的かも知れません。
 その所為か多くの未成年殺人者(未遂も含め)の内面及び事件の時代観・背景といった物を、彼らの残した文章、手記、ネットへの書き込み等から考察するといった形式と成っており、この手法が私好みで理解しやすく印象に残っています・・・。

 取り上げる殺人者(事件)も敗戦後間もない時期の李珍宇から、永山則夫、宮崎勤、女子高生コンクリート詰め殺人、豊川主婦殺害事件、酒鬼薔薇、佐賀バスジャック、2008年の秋葉原、佐世保小6事件等々多岐に亘り、また登場する文藝作品、作家等も多い本です。




 他、印象に残っている本をもう一つ揚げると・・・。

 女性ライターが、現代に残る色街について書いたルポルタージュ。
 対象が対象(色町)なので衝動買いですね・・・。

 しかし読んでみますと少々残念な印象・・・(といいますか、残念さが強いです)。
 (拠って、書名、著者名は記しません)


 では何が残念な印象として残ったのか?

 その色街の歴史、背景等を良く調べてあり労作の印象は有ります・・・。

 ただ私がどうしても気になったのは、その色街で生きている人たちに対する著者の無邪気な軽蔑感といった物が行間から感じられてしまう事です。
 (私自身古い色街の跡等を歩く事が好きなのですが、その場合出来るだけ目立たない、立ち入らない、干渉しない、敬意を持つ・・・等々心に留めている心算です)
 スタンスが違い過ぎたのかも知れません・・・・。


 しかし乍これも仕方ない事なのかも知れないと思ったり。

 現代(戦後)というもの、前現代(近代)(戦前)というものを否定し軽蔑する事に拠り成り立って来たのでしょうから。また近代(明治)は江戸(近世)否定する事に拠り・・・・。

 所詮は”新しい時代”というもの、その直前の時代を否定し、軽蔑し、差別する事に(或いはそうしたプロパガンダ)拠り成立する物なのでしょうから・・・。

 それは判っている心算ですが、それでもやはり現代の(あるいはこの本の行間に見え隠れする)前現代(遊郭、色街等は戦前、或はそれ以前の価値観で成立している象徴的な空間に想われます)に対する無邪気な軽蔑感(差別感、上から目線、攻撃性・・・等々)には、やはり戦慄を禁じ得ないのです。

 結局、こんな事をブログに書いている私と言う人間が、現代に適応出来ない古いタイプであるという事なのでしょう。

 あるお客様の言い回しをお借りすれば・・・。

 「危惧されない、絶滅危惧種」なのでしょうが・・・。
 またそれ故に「危惧されない、絶滅危惧種」である遊郭跡の街並みや遊郭建築に惹かれるのかも知れません。

 そうした事を考えさせられた、ということで印象に残った本でした。

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