2012/03
17
[ #370 ]

ビールのはなし

 職業柄どんな酒でも口にします。当然ビールも・・・。

 しかしビールって美味しいですよね。

 水を2リットル飲みなさいといわれますと遠慮したいですが、ビールなら喜んで!と答えたくなります。
 飲めば飲むほど飲みたくなる、そんな一面が有りますね・・・。(私だけかな?)

 前回、ビールは社会的アルコール飲料の嚆矢といった事を少し書きましたが、今回はその辺り・・・・。



 恐らく人類が農耕(穀物生産)を始めたのは1万年程前、メソポタミア~エジプト辺りなのでしょう、これが文明、社会規模の拡大の始まりと考えて間違いは無いように想えます。

 では何故、穀物生産の始まりが文明の嚆矢といえるのか?


 穀物の特徴として重要な事は、適切な管理をすれば次の収穫期まで保管が可能である事(保管性に優れているという事)。
 また、主食という形として殆どの人々が必要とする存在であるという事。
 更に、計量、運搬の便が良いという事。

 これに拠り価値の単位として機能出来る、詰まりは貨幣の前駆的存在としての穀物これが重要に想えます。
 

 これに拠り、富の分配や他の人々、村落等との交流が遣りやすくなり、大規模社会が形成出来るという事でしょう。

 また考えますと我が国では、一応幕末まで武士の俸給を石高で行っていたという事は、この文明の原初的姿、システムを維持していたという事で、この辺りが江戸時代が平和に250年以上続いた遠因の様にも想われます。


 そこでビール、この穀物(麦)から造られる訳ですが、前回書いたワインとどういった異なる意味を持つのか?
 
 それは、原料となる麦が1年を通して手に入るという事。

 原材料が有るのですから、後は技術者(ビール職人)と道具(適当な容器、出来れば良質の酵母が付着してればなお良)が有れば、1年を通して口に出来るという事。
 (当時のワインは保管性が悪かった)


 これに拠りビールは分配物としても成立出来たという事。
 この辺りが、私がビールを社会的酒類の嚆矢と想う所以な訳です・・・。

 特にエジプト等では、職種に拠り日々配られるビールの量が決められていた、なんて話も有りますし。

 そうなると、ピラミッド建設という労働を終えて配給されたビールを飲み、仕事に区切りを着ける・・・。何てことも有ったで有ろうと想像出来たり。(これって、南九州あたりの”だれやめの酒”と共通のイメージですね)


 他方、エジプトのビールにハレの酒(祭等で飲んで酔う為の酒)の要素は無かったのか?

 当然、そうした側面も有ったでしょう。
 一寸考えれば収穫祭なんて思いつきますし・・・。
 ドイツのオクトーバー・フェストなんてその延長線上に有りそうです・・・。


 少し話が横道にそれますが、この収穫祭。収穫出来た事実、その年の実り、あるいは大地・自然に感謝し行われるという解釈が一般的ですが・・・・。私はそれ以外に”蕩尽”の要素が強く有ったのでは?と想うのです。


 どういう事か。

 秋に穀物が収穫されます。この収穫された穀物で次の収穫期まで人々が暮らす訳ですが、では前年の収穫分の残りはどうするのか?

 現代的には”貯めとけばいいじゃん”、ですが・・・。
 当時、これは良くない事とされていたのでは?という事。


 何故か?

 自然界。土から植物が育ち、それを食べて動物が成長する、そして死を迎えて土に帰る。その土からまた植物が育つ。
 このサイクル。食物連鎖と言う奴ですが、この実感が人々に強く有ったのでは無いかという事。東洋思想にある、輪廻なんてのもここから来ている様に想われますしね。

 そこで、前年分の穀物を貯めるという行為、この食物連鎖を滞らせるという意識が有ったのでは無いのか?という事。

 故に、前年の収穫分は蕩尽する(しなければならない)。
 これが収穫祭の重要な一面ではと想うのです・・・・。



 我が国でも、飢饉に備えた備蓄米なんて江戸中期まで行われ無い訳で・・・。過ぎたる備蓄・蓄財に対する無意識的抵抗感が有ったのではと想う訳ですし、また重要にも想えます。


 横道ついでにもう一つ。

 当時は麦から直接ビールを造るというより、ビールの元になるパンを作り、保管し、これからビールを造るという遣り方が多かったという話があります。

 では現在、こうした遣り方をしているビールは無いのか・・・・?

 ロシアに、クワスという飲み物が有るそうで・・・・。黒パンを水に浸し発酵させて造るビールの様な飲み物。

 残念乍、未だロシアに足を踏み入れた事が無いので口にする機会は無いのですが、お飲みに成られた方のお話では”日本のビールを考えると、とても美味しいとは言えない物でした・・・。”との事。

 しかし今日でも有る様で・・・。夏場に伝統的健康飲料的に飲まれているという話も・・・・。

 そう考えると、日本の甘酒の様な物かな?
 今では甘酒というと、冬の寒いときの飲み物のイメージが強いですが、江戸時代は夏場の栄養ドリンクでした。拠って、季語も夏。

 洋の東西、同じような事をしているのですね・・・。



 そんなこんなでビール。
 発酵に拠り栄養価も増し、吸収も良くなり、また液体という事で分配の利便性・公平感も高く、またアルコールの薬理作用もあり、そして何よりも日常的に存在しうる。

 正に庶民の・社会の酒って気がします。

 そしてこの庶民の酒としてのビールのイメージ。現代でも続いている気がします。

 ビールに乾杯ですね・・・。

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ビールは旨い
こんばんは!
乙山もビールが大好きなんです。
そのわりに記事が少ないのですが、
いちばん好きなのはひょっとして日本酒かもしれません。
水を2リットルといわれても困りますが、
ビールならいけるかもしれませんね!

01時すぎに 只野乙山 さんから

2012/03/19(月) | URL | #-

2012/03/19 - ■■■

 乙山様、コメント有難う御座います。
 私、職業柄どんな酒でも口にしますが、プライベートでは、日本酒の比率が年々上がっている気がします。
 それはそれとして、真面目に作られたお酒は、種類を問わず美味しく想えます。
 これからも宜しくお願いします。

13時すぎに ますた さんから

2012/03/19(月) | URL | #-

2012/03/19 - ■■■

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