2012/06
23
[ #398 ]

ワインのはなし 2

 農耕が定着、穀物が安定的に生産できるように成るにつれ、穀物から作られる酒(ビール)がアルコール飲料の主流に成った訳ですが、では果実酒(ワイン)はどうなったのか?

  

 勿論エジプトでもメソポタミアでも、造り続けられたようです。ただし、少しあり方が変わった様に想われます。
 理由は色々と有るでしょうが、結論から言えば高級品になったであろうという事。


 一年を通してある程度安定的に造られるビールに対し、ワインは葡萄の収穫期しか造れない。
 もしかすると、これが大きい理由かも知れません。

 年中口に出来る様になった穀物に対し、特定の時期にしか口に出来ない果物はそれだけで希少性が有りますし、趣味性も強い気もします。現代でも果物の事を「水菓子」と呼んだりしますからね。

 また、その血液を連想させる赤い色も理由の一つかも知れません。

 気候の問題もあるかも知れません。エジプトやメソポタミアの気候が、どれ程葡萄生産に適していたのか?
 現にメソポタミアで消費されるワインの多くは、コーカサス地方(今で言えばグルジア辺り)で造られた物が多かった様です。(と言いますか、ワインの原産地がその辺りとも言われています)
 そうなると、輸送中の品質保持の問題や輸送コスト等々の問題も生まれるでしょう。

 また、(酒の薬理効果の主役としての)アルコール度数の高さというのも重要な気がします。

 他、果糖由来の甘さ。
 実際、世界の多くの人々が飢餓の心配をしなくて済むようになるのは20世紀になってからでしょう、其れまではやはり美味しさ=甘さ、と言う面は否定でき無かったと想われます。
 

 これらの理由からワイン=高級品。或は特権階級の飲み物という価値観が生まれた気がします。


 そして実は、今でもワインにはそのイメージは着いて廻っていると想えます。
 勿論現代では生産量の増加、生産システムや輸送システムの発達に拠りデイリーワイン等安価な物も多く、日常的に飲める事になりましたが、それでも一部の高級ワインは明らかにそうした面(ブランドとしての意味)が色濃く残されている気がします。
 たまにオークション等で古いワインが驚く程の値段で落札されたりするのは、そうした事でしょう。

 ツタンカーメンの墓にワインの壷が副葬されたりしていたのも、其れを証明している様に想えます。



 話は変わりますが確か昨年の秋に、あるお客様の引越し記念の宴会でグルジア産の赤ワインと赤のスパークリングワインを味あわせていただいた覚えがあります。

 その味は・・・・・?

 共にかなり甘さが強く、また、恐らくはアルコール由来と思われるある種の重さも強く感じました。現代的な基準から言えば、繊細さの感じられないワインとなるのかも知れません。
 地酒的なワイン、古臭いスタイルの物と評価されるのかも知れません。

 しかしそれはそれで非常に興味深かったですね。

 ワインに限らず多くの洋酒。今でも地中海的、或は南部ヨーロッパ的な物と、北部ヨーロッパ的な色の物といった見方が出来るかも知れません。
 カトリック的、プロテスタント的。と言っても良いかも知れません。
 そして其処には、それなりの意味と言う物も見出せそうです。

 そうした意味でも飲ませていただいてグルジアのワイン。そうした古典的なワインのあり方を想像させていただけて嬉しかったですね。

 何だか話がまとまらなくなりましたが、ワインというお酒、農耕が安定した事に拠り、高級品、或は特権階級の飲み物としての地位を手に入れ、そのイメージは現代に於いても消えていない様に想えますし、色々のシーンでそれが顔を出してくる様にも想えます。

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