2013/05
17
[ #493 ]

Alfons Maria Mucha

 廿日市の”海の見える杜美術館”でこの様な展示を観て来ました。


 

      ミュシャ


  知られざるミュシャ展    ー 故国モラヴィアと栄光のパリ ー



 ミュシャという作家及びその作品群に対しそれ程思い入れが有る訳では無いのですが、彼の活躍した19世紀末のパリの風俗事象には興味を惹かれる物が有りまして・・・。(そういえば、他にも大規模なミュシャの巡回展が行われているそうで、流行なのですかね?)


 19世紀末のパリ、一般に「世紀末」と呼ばれる社会風潮、社会状況、文化・・・。
 フランス第三共和制のもと産業革命が進み、蒸気機関、電気、ガスといった科学技術、近代文明の普及に拠り生み出された数々の事象、等々・・・。又それはパリ市民という都市生活者に余暇余裕ももたらし、そこに生まれた演劇、アート、グルメブーム、旅行ブーム、3度の万博、デパート、バーゲン、キャバレー、商業雑誌、等々・・・。 
 その、喧騒・軽薄・過剰・・・。
 又、爛熟・退廃と呼ばれる世相。
 未来が提供され、夢見られる時代。 
 更に、近代文明の生み出す圧倒的力と利便性(あるいは未来)に対する、漠然とした不安も生まれた時代(それは、後に訪れる2度の世界大戦で具現化する訳です)。

 そしてそれは我が国の戦後の、高度成長~バブルの発生と終焉~現代という時代の雛形、メルクマールとも言えそうです。
 (尤も当時の日本も明治後半から、成金の誕生、大正ロマン、昭和モダンとその影響は受けていた訳ですが・・・。)   (旅行観光ブーム、遊郭地設立ブーム?とかも・・・)



 閑話休題、展示内容ですが・・・。

 会場である”海の見える杜美術館”、どちらかといえば小規模な美術館という事で、実はそれ程期待せずに出かけた訳なのですが、これが結構な数(160余り)の作品が展示して有りまして、良い意味で期待を裏切られました。
 全体を6つの作品群に分け、その頭にそれぞれのパートの解説文を付けるといった遣り方で、個々の作品に対して細かい解説は付属はしないのですが、これはこれで展示内容と相性が良い印象でした。


 しかしミュシャの作品ばかりをこれだけの数見続けるのは、かなりの体力・精神力のいる作業にも思えたのも事実。
 ミュシャの作品、特にパリ時代以降の物は一枚でもかなりの存在感があります(数々の意匠や象徴、情報等が盛り込まれている故か・・・)。
 途中からはなんとなく胸焼けがするといいますか、気持ち悪くなると言いますか・・・・。一寸ミュシャに当てられた印象。
 精神的に結構疲れました。


 という事で?この美術館の2Fにありますカフェのデッキスペースで寛がせていただきますことに。

 天気さえ良ければ非常に心地よいスペース。ロケーションも良く、お気に入りです。

 宮島  ウッドデッキ  手すりが少々目障りでは有りますが・・・・。


 この日は、この展示に併せて造られたケーキとコーヒーをいただきました。
 普段、私は余りデザート等を頼まずにコーヒーのみという事が多いのですが、少し気になったのです。

 これがまた素晴らしく良い感じの物で、非常に満足感が高かったですね。嬉しい驚きでした。
 凄く贅沢をさせていただいた気持ちになったスイーツでした。
 一寸、嬉しかったですね。

 鑑賞疲れも少し解消です・・・。

 



 追記。

 この展示会のタイトル。
 「知られざるミュシャ展」 なのですが、どの部分が”知られざる”であったのか・・・。


 パンフレットの文面からすると、チェコのモラヴィア出身のスラブ系である事(あるいはそれ故の晩年のパンスラブ主義的活動の事)か、あるいは初公開の30点の作品群がその”知られざる”部分である。と読めるのですが・・・。


 そんな事を思いながら展示を観ていまして・・・。
 途中、解説文の中にこうした部分がありました・・・。


 ~晩年、彼はフリーメーソンである事から、ナチスに連行されを尋問をうけた・・・~

 この一行は興味深いです。

 一般に言われるミュシャの解説には、”晩年彼は、その(スラブ主義的)作品群が、チェコの国民意識を高める。あるいはチェコ国家主義的であるとの理由でナチスに連行、尋問を受け、その心労に拠りまもなく身罷った・・・”とされていた筈です。

 しかしこの二つの連行理由(フリーメーソンで有る事と、国家主義を高揚する事)、ある面180度、逆の意味ですよね・・・。
 
 
 しかしそうした視点でミュシャの作品群の事を想うと・・・、成る程と思える面も多くあります。

 その(特にパリ以降の)作品群の各所に散りばめられた、象徴的意匠の数々・・・。

 これでもかと出てくる、六芒星(たまに八芒星、五芒星)。ウロボロス、人の手・指、一筆書き、三角形、他者を見通す様な視線・目、ある種のカリグラフィー、メドゥーサ的女性、等々、等々。
 あるいは神秘主義、魔術主義的な物、題材と成る神話等の事・・・。
 また、その耽美。 
 (この辺りが、私が少々気持ち悪くなった部分かも知れません。)

 しかしもし、その一行、その部分が、”知られざる”であるとしたら、非常に意味深で面白い展示であり、作品群とも思えます。

  

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