2014/03
30
[ #593 ]

シェリーのはなし

 蒸留技術が完成した事により、・ワインからブランデー類・ビールからウイスキー類といった所謂スピリッツが造られる様に成り、更にそれらを基にしたリキュール類が造られる様に成った訳ですが、もう一つその事によって造られる様に成ったのがシェリーに代表されるような酒精強化ワインというタイプのお酒です。



 ではいつ頃からシェリーの様な酒が造られる様になったのか?というと(当然の事ながら?)はっきりした事は解らないのですが・・・。
 唯、チョーサーの「カンタベリー物語」にそれらしい記述があったり、英国に残ってますヘレスのワイン輸入伝票辺りから推察すれば14世紀には結構生産されていたのではないかと思えます。


 では何故、こうしたタイプの酒が造られる様に成ったのか?
 良く言われるのは、海運等の長期の輸送に耐えうる事を目的に・・・。何ていわれていますが・・・。

 他にも甘いワインを造りたかったとか、ワインの変質や腐敗を防ぐ為、何て理由も考えられそうです・・・。

 個人的には、”変質を防ぐ”辺りが初期の理由の様にも思われるのです・・・。


 ワインというお酒は極端な言い方をすれば、葡萄をつぶして放置すれば、果汁の糖分が果皮等に付いている天然酵母の作用でアルコール発酵してワインに成るのです・・・。そうして、果汁のの中の糖分が消費され尽くした時点で発酵が止まり、酵母も死んでしまう。こうしてワインが出来るという事になる訳です。
 がしかし、酵母や雑菌が完全に死滅する訳では無くある程度は残っていて、暖かい環境等に放置したりするとその作用で変質したりする事にもなる訳でして・・・。
 それを防ぎたかったのでは?等と思うのですよね・・・。(ヘレス地方は暖かいですから・・・)

 そこでシェリーはアル添(スピリッツを投入しアルコール度数を上げる事)により、酵母や他の菌等を死滅させたり、減じたりしてそれを防ぐ・・・と。


 先にワインは葡萄果汁に含まれる糖分が発酵され尽した時点で発酵が止まる等と書きましたが、では目一杯糖分が多い果汁だとどうなるかといいますと・・・。
 基本的にワイン酵母はアルコール度数が14~15度になると死んでしまうのですよね(そうしたワインは糖分が残り甘口のワインになる)。
 で、シェリーはアル添により度数を高め酵母の活動を停止させる、つまり、糖分も残り甘口のワインが出来る可能性も生じるわけです。


 またこれは良く知られた話でしょうが「シェリー」の呼び名は英国式。ヘレス地方のアラビア名「シェリシュ」が英国で転じた物なのですが、そこから解るように初期のシェリーの一番の消費地(顧客)は英国な訳です。甘い酒を求める英国、それもあって甘口のシェリーの生産が活発になったのでは?とも思えるのです。

 まあこの辺り、鶏が先か卵が先か?的な話で、シェリーという酒が生まれ、その輸送等に耐える酒質や甘さや熟成香が評価され、またそれがシェリーの発達にも繋がって行ったりという事なのでしょう。


 しかしシェリーに限らず、ボルドー辺りのワインを発展させたのも英国ですし、他にも現代に繋がる多くの酒を見い出したり評価したりしたのは英国(という消費地・消費者)という事もいえそうな気もします。



 シェリー

 現在店に転がっているシェリー

 

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