2014/06
18
[ #620 ]

最近読んだ本から・・・

 最近読んだ本から何冊か・・・。
 とは言っても、図書館&古本屋が主要な入手先なので中途半端に古い本が多いのですが・・・。

 先ず一冊

        我すね者として

 「我、拗ね者として生涯を閉ず」  ~本田靖春~

 2005年の本なので結構古いのですが、以前よりこのタイトルが気になっていまして、図書館で目に付き衝動借り。

 基本的に自伝や伝記といった類の本は苦手なのですが、この本は面白かったですね。
 著者は読売社会部からフリーのジャーナリストとなられた方。確かに著者の自慢話的な部分も無くは無いのですが、中々痛快な読後感。流石文筆を生業とされてた方ですかね?読ませてもらえる文章。自伝というよりはタイトルからもわかる様に遺書に近い雰囲気も在ります。
 また、その魅力は著者の立ち位置(自己規定)にも拠るのかも知れません。
 それはジャーナリスト(ルポライター)である前に、一社会部記者であろうとすること。
 またジャーナリスト(記者)たる者、先ずは(金銭)欲を捨てるべきであるとか、ジャーナリストは”野糞”の精神を持つべき。 といったその矜持も良しですかね。
 最近とみに新聞やTVが面白くなくなった気がしている私としては魅力的な本でした。(マスコミにジャーナリズム的な事を期待しても仕方ないのかも知れませんが・・・)



 同時期に出版された本でやはり気になっていた本をもう一冊。

     アースダイバー

 「アースダイバー」   ~中沢新一~ 


 私の様に?街歩きや路地裏歩きの好きな人間には必読とも言われている本です。ようやく読めました。

 内容は・・・”無意識の眼を見開いて行う東京街歩き(あるいは縄文人の視点を持って行う東京街歩き)”といったところですかね。
 縄文から続く土地の記憶とか日本人の無意識、あるいはそれらが街から読み取れ、それがまた魅力的・・・。

 著者独特の感覚といいますか、言い回しもありますので合う合わないもありそうですが(民俗学の網野氏が叔父にあたられるとか)、好みの本でした。続編の大阪の部「アースダイバー2」を探したくなりました。

 


 それと此処の所、月に1~2冊位のペースでジョルジュ・シムノンのミステリー(主としてメグレ物)を読んでいたのですが、これが面白いのです。
 その昔、小学校の終わり頃から中学前半辺りにミステリーばかり読んでいたので、メグレ物も読んでいた筈なのですが余り印象に残っていなかったのです。それがこの歳になって読むと面白いのです。
 
 シムノン 

 
 その理由は何か?思いつくまま記してみますと・・・。

 ・庶民(パリという街の底辺で暮らす人々?)に対する暖かい視点。
 ・酒が良く登場し、当時のフランスの飲酒文化が垣間見れる。(バーテンダーですから 笑 )
 ・パリの街角の風景描写が魅力的。特に路地裏とか一寸如何わしい界隈、またそれがリアルに汚いといいますか、一寸フランス映画の様?
 ・そして特に好きなのは、基本的に犯人探し(の推理)がテーマでは無いというスタイル。
 半分も読めば犯人は判っているという作品が殆どです。では、その何が魅力かといいますと、”何故犯人はそのような犯罪を犯さなければならなかったのか?”という事がテーマにしていまして、それに対し臨床心理や社会心理学的手法でアプローチをしていくといったスタンスです。
 最近我が国でも、従来からすれば不可思議といいますか、いやなといいますか、そんな事件が多く・・・。それを色々のアプローチ(心理学も含め)で解き明かすといったノンフィクションも多く出版されていますが、そうした物と同様の魅力が在るのです。20世紀中盤のパリという現代(都市)という物の在り方を見せて呉れるといいますか・・。
 (また裁判所は量刑を決定するだけで、何故その犯罪が起こったのか?何て解明はしないですしね)
 ・それと、書き過ぎず、行間を読む(推理する?)楽しみを残して呉れている文体も魅力。(好き嫌いはほんと分かれそうですが・・・)アメリカンハードボイルド程ドライでは無く・・・(一寸中途半端な印象もあるのですが)、好きですね・・・。


 等と書きますと・・・、翻訳物でしょ?原文で読まなくて文体云々といえるのか?等といわれそうで痛いのですが・・・(はっきり言って外国語まったく駄目です)、それでもやはりシムノンのメグレシリーズは魅力的なのです。


 
 そこでもう一冊、お客様が貸して下さった本。

       長いお別れ

 「R・チャンドラーの長いお別れをいかに楽しむか」

 
 アメリカンハードボイルドの名作、”長いお別れ”をテーマに英語の原文と3人の翻訳者の文章を併記し、その違いから翻訳による違いを楽しもうと言いますか・・・・、翻訳家志望の方向けのテキスト本的といいますか・・・。
 中々興味深い本でした。

 英語独特のニュアンスをどう訳すか?どれ程残すか?日本語的にするか?それでリズム感は保てるか?原作の雰囲気は残るか・・・?
 結構難しそうです。
 判りきった話かも知れませんが、原作が良くないと先ずは・・・・。後は訳者との相性といいますか、文章力といいますか・・・・。思い入れとか・・・。
 色々考えられて面白かったですね。

 

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