2015/03
05
[ #697 ]

ジンのはなし

 漸くジンのはなしです。
 ジンというお酒、バーに於いてホワイトスピリッツの筆頭に挙げれられる印象が有ります。恐らくカクテルのベースに使われる事が多い故とも思われます。その辺りも含め少し妄想を逞しくしてみたくなるお酒なのです。

 ジンは出自がかなりはっきりとしている酒で、1660年にオランダのライデン大学医学部教授のフランシスクス=シルビウス(フランツ=ド=ル=ボエ)が作り出した物です(ジュネヴァ)。
 彼は解熱作用のある薬用酒(薬)としてジンを開発したという事ですが、その後嗜好品としてオランダで評判と成り~~~。と、まあこれが嚆矢ですが、となるとジン(ジュネヴァ)は解熱剤としての作用があるのか・・・?という事になりますよね?

 そこでジュネヴァ(ジン)の造り方ですが、穀物(大麦が主流)を発酵させた液を単式蒸留器で蒸留して得られたスピリッツにジュニパーベリー等を主体とする薬草を漬け込みそれらのエキスを浸出させた後に再度蒸留して造られる訳なのですが、この主体となる薬草(最近はボタニカルなんて呼びますが・・・)のジュニパーベリー、利尿作用の強い物として西洋では著名な物で、この利尿作用に拠り体内の毒素を排出し易くし、結果として解熱作用を期待したという事なのでしょう・・・。

 ジュニパー ベリー  ジュニパーベリー

 アルコール自体にも利尿作用は有る程度期待できるでしょうし、またアルコールには他にも麻酔作用や気付けの作用も在ります。また他の薬草の効能も期待できるかも知れませんので、現代的な感覚ではどれほど効果が認められるかは解りませんが、それなりに意味は有ったのでしょう。



 実は、それよりも気になるのは其の後。清涼な香りの酒としてオランダで評判になり・・・・・。といわれる部分・・・・。

 まあ好みの問題も多いのですが、ジュネヴァ或いは他のジンにしてもそうですが、常温で飲んでそれ程美味しく思える物なのか?という疑問が有るのですよね・・・。
 (当時は冷凍機は発明されていない訳でして、当然常温で飲まれた訳ですから・・・)
 (冷凍庫でキンキンに冷やしたドライジンは確かに美味しく思いますが・・・、一寸アル中気味? 笑 )
 (まあボルス等の流通生産業者の力もあるのかも知れません・・・・)



 ここでもしかしたら?と、私が思いつくのが(妄想の始まり?)”ハーリング”という存在です。

 ハーリングとは現在でもオランダの名物と言われるニシンの酢漬け。実はこの料理に相性が良かったのがジン(ジュネヴァ)が受けた理由では無いかと想像するのです・・・・・。


 少し話は変わりますが・・・・・、ニシンの酢漬け等の生の青魚を塩と酢で漬けた(〆た)料理にどんな酒が合うのか?という話。
 寿司屋で出されるコハダでも良いですし、〆鯖や、岡山のママカリの酢漬けでも良いですし(瀬戸内の漁師町等ではイキの良いイワシ等で造ったりもしますが、それなんか特に・・・・)。

 日本人なら日本酒という(最強の食中酒?の)米の醸造酒が在りますのでそれで良いのかも知れませんが、洋酒だと・・・・?
 白ワインとなるのかも知れませんが、これは下手をすると魚臭さ・生臭さが増幅される面がありまして(物にも拠りますが)結構難しい気がします。
 

 実は此処で相性が良いのが、アクアビットという酒。
 北欧の蒸留酒でジャガイモ等で造られるスピリッツに薬草の香りを付けた物(確かに北欧でもニシンの酢漬けは名産ですよね)。
 キャビア+ウオッカの組み合わせもそうですが、香りの強い生魚にはワイン等の酒は生臭さを増す可能性がある故に蒸留酒の方が相性が良いという話があるのです。(鹿児島辺りでのキビナゴの酢味噌に焼酎というのもあるか・・・・)

 で、このハーリングの存在故にオランダでジュネヴァが人気と為ったのでは?と思う訳なのです。


 蛇足ついでに・・・・・。
 ではジンが開発された当時、ハーリングはオランダ周辺で食べられていたのか?

 ものの本ではハーリングが当地で造られる様に成ったのは中世の終わり頃とか・・・・・。

 では中世の終わり頃を何時頃と観るのか?



 此処でオランダの歴史に付いて少々・・・・・。  

 
 1492年スペイン異端審問が始まりマラーノ等の人々が多量にスペインやその周辺から外に出て行くことに成るのですが、その人々が多く移住した先の一つが、当時ハプスブルグ家の領地であったネーデルラント(現在のベネルクス3国)周辺(カール5世の存在も大きいか?)。そして彼らは海運業を起こしたりそれらに投資をして力を蓄え後に北部が独立しオランダ王国を造る(1648年)のですよね(実際オランダの国土の多くが灌漑工事で物理的にに造られた面も・・・・笑 )。

 そしてこの頃にハーリングが造られる様になったのでは?と想像するのです・・・・・。


 異端審問以前に彼らがいたスペインのおつまみ?といえば”ボケロネス”=こイワシの酢漬け。それを懐かしんで、或いはその代用にニシンで造ったのがハーリングの嚆矢では?と想像するのです・・・・。
 そしてこのハーリングにあう酒として普及したのがジュネヴァでは?と・・・・・・。
 どうですかね?
 
 長くなりましたので、他のジンのはなしはまたの機会に・・・・。

 

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