2015/07
09
[ #732 ]

今年前半に読んだ本から・・・・

 今年前半に読んだ本の中から印象に残った作品の話を少々・・・。

 今年の前半は個人的には久々に小説(フィクション)を多めに読んだ時期でした。ここ数年はどちらかといえばノンフィクション的な物を読むことが多かったのですが。
 その切っ掛けは以前にもアップしましたが、お客様が貸して下さったこの本。


               東京自叙伝


 「東京自叙伝」  奥平 光

 
 この本が思いの他面白く、この著者の作品を何冊か読んでみました。
 この著者の作品、どれも七五調の口語文と文語体が混ざり合った様な文章で、何と言いますか明治時代の作家の文体の様といいますか・・・、これが中々心地よいのです。
 そして時代背景も明治~戦中辺りが多いのですが、とは言っても最近の世間の風潮の様に安直な明治時代万歳、といった物でなく、どちらかといえば(いや、かなりか?)シニカルな視点&書き方。
 しかしウイットが効いているので嫌味にならず面白く読めるのです。
 少々書き過ぎといいますか”くどい”印象もありますが活字好きの私としてはそれが読み甲斐に転化感じで・・・。
 どちらにしろ小説好きの方に受けそうな作品が多かった印象です。




 また実はこの著者以上に多く読んだ小説家の方が有りまして・・・・。
 それはこの作品が最近話題の・・・・・。


               教団X


 「教団 X 」  中村 文則


 この著者の作品、純文学的な物からエンタテイメント、ノワール的物やミステリー的な物とある程度幅がある印象なのすが、そのどれにおいてもある種の社会科学的視点といいますか社会心理学的視点が感じられ、そこが私好みで多く読んでいました。
 またどの作品にも(著者自身もどれかの後書きで匂わせていましたが)私小説的なエッセンスといいますか、そうした空気を感じる面がありまして、その辺りは好き嫌いが分かれる作家かも知れませんが個人的には好みに合いましたね。
 といいますか個人的にははずれの無い作家という印象です。
 まあこの”教団X”は少しくどかった(長過ぎ?な)気もしますが・・・・。




 それと、この本も印象に残りました。


               宰相A


 「宰相 A 」  田中 慎弥

 
 ”共喰い”で芥川賞を受賞され、その時の記者会見が話題となった著者の話題作です。”共喰い”は少々物足りない印書が有ったのですがこの作品は中々・・・・・。
 最初、「あ~、G=オーエルの”1984を下地に書かれた作品ね・・・・」といった感じで読み始めたのですが読み進むとこれが結構良い感じで・・・。
 オーエルの1984が意識されるディストピア小説である事は間違い無いのですが、全編に渡っていかにも著者独特の文体といいますか。どの項を捲っても著者の作品と判る感じで印象深いです。
 また、作品中の”宰相A”の行う演説の言葉使い、言い回しがこのところの我が国の総理の言い回しを彷彿とさせ・・・・。
 確かこの作品、今年の早い時期に発売された筈なので書かれたのは昨年と想われますが、少々予言的というと大げさですが、見事な観察眼。流石言葉を武器とする小説家ならではなのか?と驚きました。



 勿論これ以外の作家さんの小説も読んではいたのですが、此処に装丁をアップした3冊。テーマや文体は異なりますが少しばかり似た印象を受けたのですよね。

 それは・・・・、


 小説(フィクション)故に書ける事といいますか・・・。小説あるいは文芸(文学・文科系・芸術・小説家・・・・・)という存在に出来る事、存在理由、すべき事・・・・・・・等々を事を考えさせられたといいますか・・・・、
 そんな印象です。



 小説以外ですと、お客様が貸して下さったこの本が面白く読めました。

                   日本史の謎は「地形」で解ける


 「日本史の謎は”地形”で解ける」  竹村 公太郎

 
 何だか”いかにも”といった書名で正直あまり期待せず読み始めたのですが・・・・、また読み始めた時も”いかにも官僚的文章”、言い回しだな・・・・等と感じ・・・・・。
 しかし読み進めるとこれが面白かったのです。
 私自身、単車で街並み等を徘徊する場合等、その場所の歴史や(単車故か)地形等を意識する訳で、テーマ的には完全に合っているので外れなくて当たり前といえば当たり前なのですが、それ以上に”成る程”と想わされる部分がかなり有りまして。
 特に赤穂事件(忠臣蔵)の件は秀逸。
 一寸、赤穂事件に対する個人的見方を再構築しなければ・・・、等と想ったり(大げさですね・・・・)。  笑
 
 



 おまけでもう一冊・・・・。


                   「人間嫌い」の言い分


 「”人間嫌い”の言い分」  長山 靖生

 10年余り前に出された新書なのですが(そういえば新書をアップするのははじめてか?)、書名に惹かれ古本屋で衝動買い。想った以上に面白く、特に前半は笑いながら読んだ印象(それに比べると後半は今ひとつ、前半との連続性といいますか整合性にも少々疑問符かな?)です。
 何といいますか、私がたまに人様から、貴方って実は”人間嫌いでしょ?”と言われる理由が良く解ったといいますか・・・・ 笑 、久々に笑えました。

 また、この10年余り前にこの新書が指摘したある種の日本病とも言えそうな空気(共同体の同調圧力に拠る個人としての思考停止)は、この10年で益々進んだのか?という印象も感じてみたり・・・・・。


 

 相変わらず、愚図愚図と書いてしまいました。

 

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