2016/01
07
[ #788 ]

勝手なる考察 3

 少々しつこいですがまだ書きます。昨年この展示を観ての考察。
 戦前、大正から昭和一ケタ台にモーターサイクルレースが盛んだった広島市周辺、日中戦争泥沼化に拠り開催されなくなり、その後原爆投下~敗戦、市内一面焼け跡となるものの昭和21年には有志が集まりレースが開催され、その後恐らく昭和24年からはオートレースとして開催されていたのですが、それも昭和34年を最後に開催されなくなるのです。
 では何故この時期に開催されなくなったのか?

 相変わらずの素人の勝手な考察ではありますが・・・・。


 勿論、その理由は色々と在るでしょう。
 例えば、昭和27年には宇品に競輪場が開設されたとか、同29年には宮島競艇が開設され何てことも一因でしょうし・・・・。
 唯、私としては重要な要素として、その昭和30年代という時代の空気、時代風潮といった事を考えてみたくなるのです。


 では、昭和30年代とはいかなる時代であったのか・・・・。

 昭和30年の秋に米国主導で保守合同が行われいわゆる政治の55年体制が始まるのですが、これを切っ掛けに日本に急速にアメリカ文明が浸透していった、日本のさまざまな面がアメリカ化していった時代では無いかと思えるのです。
 例えばTVの普及とそこで流されるアメリカ的な物というのは良く語られますが(ホームドラマ・ハリウッド映画・プロレスもアメリカ由来でしょうし・・・・・)、全体としては、いわば民主主義という物・言葉の浸透、日本の法治国家化、ともいえるかも知れません。

 民主主義の浸透および法治国家化・・・・何て書くと良いイメージが強いですが(といいますか、それのどこが問題?なんていわれそうです)、物事全て良い面も有れば悪い見方も出来る訳でして・・・・・。

 例えば、民主主義、言ってみれば議会(立法府や内閣)で成立すれば、どんな悪法でも施行されるシステムともい得る訳でして、ナチス政権だって民主主義に則り誕生した訳ですしね?
 また法治国家化とは、法律を絶対視しそれに人々を従わせる支配するシステムともいえる訳です、所謂”法の支配”(何だか昨年良く耳にした気も・・・・・)というやつですね。


 閑話休題、それによって昭和30年代、わが国ではどういった変化が起ったのか・・・・?


 旧来(江戸以前)の我が国は基本的に、村や町といった地域はそこの自治組織によって運営されていた側面が強く、其の当たり幕府等の行政は余り介入しなかった、といいますか、自治に任せていたと言われています。
 言い換えれば、地域の枠組みが強固であったともいえそうです。
 そして、各村や地域にはそれぞれに”ハレ”の日や行事が有り、存在感を持っていた訳ですが・・・・・。

 それは例えば・・・・・、岸和田の”だんじり”や博多の”山笠”の様ないわば競争系の物であったり、伊予の太鼓祭りや広島県では幸崎に残る布団だんじりのような喧嘩みこし系の物であったり、西大寺や宮島の玉取り神事の様な裸まつり系であったり、また地域や地方に拠っては、闘牛や競馬系の物であったり・・・・・。
 また、そうした祭りが盛んでない地域では、盆踊りで近所の若衆連同士が喧嘩的な事をしたり・・・・と。

 どちらにしろ、怪我人が出るような(或いは場合によっては死人が出るような)荒っぽい行事が”ハレ”の行事として行われていた訳でして・・・・。

 また、そうした行事には”夜這い”という風習が付いて廻っていたり・・・・・・。


 例えばその夜這い、地域の作法にしたがって行われる訳ですが、何時の時代でも無作法な輩はいる訳でして・・・・・、たまに揉め事が起ったりもすると・・・・。
 で、そうした場合どういった対処がされるかといいますと、村の自治組織(座)等で話し合いが行われ、地域の仕来りや慣習に基づき落としどころが探られる・・・・・。
 荒っぽい祭りで怪我人等出た場合も同様に、地域の仕来りに拠って解決される、他地域との揉め事も地域に代表同士の話合いで落としどころが探られ解決が図られる・・・・。
 といった事が大方でしょう。


 それがこの昭和30年代前半に急速に変わり始める訳です。

 例えば夜這いで揉め事になった場合・・・・、婦女暴行罪・強姦罪といった形で行政(警察)や司法が介入する様になる訳です。また、そうした解決法が推奨される・・・・(これが所謂法の支配ですな)。
 これに拠り、多くの地域でこの時期に夜這いの風習が廃れる・・・・・。

 また、荒っぽい祭りで怪我人や死人が出た場合(たしか昨年の岸和田のだんじりでも一人亡くなられた筈)には主催者に対し、業務上過失致死傷罪で捜査が入る・・・・何て事になり・・、、多くの荒っぽい祭りが、大人しくなる方向にも向かい始める。
 (どちらが良いとか悪いとかではなく)


 一寸考えすぎ・・・・?
 しかし、昭和31年に成立し33年に完全施行された売春禁止法はその象徴とも言えそうで(また遊郭のはなしかよ・・・・・)、この時期急速に日本にアメリカ化(プロテスタントイズム)の浸透が政府主導で行われたのは現実でしょう。



 さてそれが広島のモーターサイクルスポーツと何の関係が?といわれそうです。
 が、あの展示のパンフレットの写真、昭和34年のレースの写真。会場が可部高校のグラウンドなのですよね・・・・。
 この状況でもしバイク同士が接触クラッシュなど起こして観客席に飛び込んだ場合(写真を見る限り柵すら設けれれていないようです)、当然主催者の刑事責任が問われる事態となる訳でして・・・・。

 結局この時代風潮として開催は断念せざるを得ない事態に成ったのが大きいのでは考える訳です。


 (これは4輪の話ですし後の時代ですが、1974年(昭和49年)の富士での大クラッシュや1977年の富士でのF1の1コーナーの事故、1983年富士の最終コーナーでの高橋徹の事故・・・・・等々、どれも警察が介入した記憶が。)


 結局そんなこんなで、(ヨーロッパの様な)モータースポーツという物・文化。中々我が国には根付き辛いのかも知れませんな。

 
 

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