2016/01
11
[ #789 ]

昨年後半に読んだ本から

 昨年も近所の図書館や古本屋を主たる入手先として、グズグズと本を読んで暮らしていた気がします。
 その中から少々印象に残った物を何冊か、小説を主体に・・・・・。

 先ずはこの本。

  窪 美澄

  「ふがいない僕は空を見た」   窪 美澄

 


 あるお客様が「面白かったですよ・・・」、とおっしゃっておりまして、それならばと図書館で借り出した本です。

 はい、面白かったです。

 何と言いますか、妙な生々しさを感じるというか、リアル感を感じるといいますか・・・・。勿論小説なのでフィクションであることは間違いないのですがこの独特のリアルな感じが印象に残りました。
 ハードボイルド等の手法で、リアルさをで出すには細部や小物のディティールに拘るべきだ、という言説を耳にした記憶が有りますが、それとも異なる印象。もしかすると女性作家ならではの生々しさか?とも思えたり。

 またこの作品、女性のための女性によるRー18文学賞受賞作。もしかするとこの文学賞受賞作故か?等とも思い・・・・。
 昔読んで印象の良かったこの作品も確か受賞作。ということで、この賞を得た作家の本を何冊か借り出してみる事に・・・・・。


 当然の事ながら合う合わないがありました。

 其の中で好みに合ったといいますか、面白く読ませていただけたのがこの作家さんの物。


  しゃぼん

 「しゃぼん」 吉川トリコ


 これまた独特の生々しさといいますか、女子の世界といいますか・・・・。それでありながら男の私でも興味深く読めるといいますか・・・・。面白かったですね・・・・。

 どちらにしろバブル以降、女性作家の小説に面白いと思えるものが増えた気がします。



 男性作家の作品では?といいますとこれが印象に残っています。


 夢の栓

 「夢の栓」  青来有一


 長崎出身の作家さんという事故か、何といいますか・・・・、潮風の持つ湿度感?といった印象を受けました。
 また、南方系モンゴロイド、オールドタイプのモンゴロイドの共通無意識といいますか、採集の民のそれと言いますか・・・・・。
 ともかく縄文以前、山の民、海の民として自然の中で生活していたアジアの民の身体感覚、メンタリティーの様な物、或いは其の良さといった物が底流にある作品。
 このウエットさが懐かしいといいますか、一寸辛いといいますか・・・・・。
 ともかく、私の中にも在るであろう南方系海洋民族の無意識?といった物にコミットする小説でした。
 


 他、この辺りは完全に私の興味の対象という事で・・・・・。

 二十世紀のパリ

 「二十世紀のパリ」  ジュール=ヴェルヌ


 「海底2万里」等で著名な作家の1863年の作品ですが、当時は諸事情に拠り未発表となっていた物。その後1990年代に発見され出版に至った作品。
 この作品の書かれた19世紀後半のパリの風俗等に興味を惹かれるのですよね。


 そしてこの作品、当時(1863年)にヴェルヌが100年後(1963年)のパリを舞台に描いたいわば空想科学小説。
 つまりは19世紀の空気の中で想像された20世紀な訳です。(アルベール=ロビダの第20世紀も同じような作品ですが、それよりも約20年前に書かれています)
 

 そしてその内容が結構辛辣といいますか・・・、興味深いといいますか・・・・・。


 第1章の表題が「教育金融総合会社」ですからねェ・・・・・。

 つまりは株式会社形式の教育産業(今で言えば私立で幼稚舎~大学まで持っている様な学校か?)、が存在感を持ってパリに君臨しているという訳です。
 またそして其処では、古典文学等の非実利的な学部、学問は急速に廃止の憂き目に会っている・・・・(そういえば現代の我が国でも文科系の学部が廃止傾向とか・・・・・・)、力を持っているのは金融・経済学、化学、建築等の実利的な学部。
 また実社会でも銀行等の金融屋、或いはそれらリンクした公社等がが力を持っている。

 そうした空気の中、パリの街には高架のリニア環状鉄道が走り、道路には内燃機関で走る自動車が溢れ、モニュメント的高層建築の塔が建ち・・・・・と。
 また、絵画や音楽、文学といった物も数学的ロジックで造られる・・・・(現代クラッシックやキュビズムを連想します)。
 そして古代のラテン語の詩を専攻する主人公は・・・・・・・。

 といった内容。いわばディストピア小説とも言えそうですが、1984とはまた異なった出自。

 
 ともかく作品が書かれた1963年、第2帝政当時のパリの空気を想像出来ます。

 

 またこの本も・・・・・。

  ルパン

 「怪盗 ルパンの時代」  和田英次郎


 ルパンといっても三世では無く基の方ですよね、その(書かれた)時代の空気をルパンの作品から見ていこうという本。

 小学生から中学頭にかけてミステリーを読み漁っていた時期がありますのでルパン物も読んでいる筈なのですが、印象に残っていないのですよね・・・・(また確かその後読んだ時は少々、荒唐無稽な印象だった記憶も)。

 しかし今改めてルパンの時代と言われると、とっさには????

 実はルパンの小説の背景(副題にベル・エポックを謳歌した伊達男と有る様に・・・)、ベル・エポック時代のパリ(&ルーアン等のノルマンディー地方)なのです。
 という事で衝動借り。

 作者が自動車評論家という事もあり楽しい本でした。


 兎も角、19世紀後半からのパリ周辺の空気、風俗等興味深いのです(世紀末~ベル・エポック~エコール・ド・パリ)。

 といいますか、15世紀末から現代に至る歴史の流れ、興味を惹かれるのです。

 
 という訳で、屋ッ地も無い本を読み飛ばしている日々ではあります。

 

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