2016/03
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[ #806 ]

リキュールのはなし 6

 19世紀、或いは18世紀の後半辺りから、結構な数のリキュールが商品化されている印象が強いのですよね、特に薬草系のリキュールが・・・・。何といいますか19世紀はリキュールの世紀と言いたくなる位に・・・・。
 そしてそうした薬草系のリキュールはそうした時代の空気をも纏っている故かある種の(妖しい?)魅力を感じるのです。
 という事もありバカナリヤのバックバーには割りと薬草系の酒が多めに並んでいたりもするのす。

   リキュール    その一部です。


 そこで今回はこの辺りの酒の与太話を少々・・・・。

 


 何故19世紀辺りにそうしたリキュールが多く商品化されたのか?

 一つは、産業革命等を経て科学的なものの見方が世間で認知される様になり(魔女狩りも終わり?)、それまで結構怪しい見方をされていた錬金術的なものが科学として認識される様に成った面がありそうです。
 医師や科学者の存在が認められたといっても良いかも知れませんし、そうした空気がヨーロッパに広まった事が先ずは遠因としてありそうです。

 また、そうした科学の発達に拠り、科学万能論的な空気も生まれ、機械や薬といった化学の力に拠り、人間が超人的な存在に近付けるのでは?といった思想も生まれた(それは精神と肉体を分離して認知する見方が生まれた・・・、或いは肉体を一つの装置として見る考えが生まれたといって良いかも知れません)


 そして当然ながら1789年のフランス革命と其れによる種々の社会的変化。
 
 さらにフィロキセラに拠る葡萄の収穫量の激減~ワインやグレープブランデーの生産量の減少・・・・。といった事も大きかったかもしれません。


 
 で、最初の錬金術師 云々・・・・、という話。

 何度か書きましたが、錬金術師には色々な位相が付いて廻っていた様思えます。
 例えば、・医師・占い師・占星術師・妖術師・科学者・預言者・薬剤師・贋金造り・・・・・。そう何とも妖しいのです。

 それ故、異端審問の対象にも当然成っていたいた訳ですが、これが16世紀半ばルターの訳した聖書で、呪術師を情勢の呪術使いとされた事もあり、魔女狩りといった言葉で表されるように、どちらかというと女性に焦点が辺り、医師や薬剤師は結構審問の対象から外れていった様にも思えます。

 こうした事を書いていますと、触れてみたくなる話が一つ。

 それは16世紀に活躍したスイスの”パラケルスス”という人物。
 高名な医師とも書かれたり、有名な錬金術師とも紹介されたり・・・・。

 彼はこんな意味のことも書いてるそうで・・・・。

 「人は首を絞められるとその精気が頭の外縁部に集まる、故にそうした遺体の頭部は非常に強い精気を含んだ万能薬と成る・・・云々・・・」

 まあ、つまりはミイラ等がが薬に成るという話です・・・・。当時はこうした事が信じられていた様で、(東洋でも一寸有りますが)身体の悪い部分を直そうとすれば、其の部分を食すると良いというやつですね。

 さしてまた、かれは”ロードナム”という万能薬を生み出した事でも知られています。
 この薬、正に万能薬として王侯貴族等に人気であったとか・・・・。

 そしてこの薬の主成分は・・・・・”アヘン”。 (確かに万能薬ではありますかな?)

 ね?錬金術師って怪しいでしょ・・・・・?


 更に17世紀と成りますと、英国の内科医の”シデナム”という人間がこれを液体化した薬を造り売り出すのですが・・・・、”シデナムズ ロードナム”という名の其の薬・・・・、赤ワインにアヘン等を溶かし込んだ物でして・・・・・。
 そう、所謂”アヘンチンキ”というやつです(ゲーテ等もこれに依存していたとかいないとか・・・・)。

 これまた今からみると怪しいのですが、当時はそうした物かも知れません。

 とにかくこうして薬という物が認知され普及していった訳でしょう(そしてその延長線上に現代の薬もあるといっても良いかも知れません)。

 そして19世紀以降~20世紀半ばは(或いは現代でも?)、全てを(人間までも)機械的・科学的こ捕らえる事が生み出され、ゆえに薬の万能感も肯定され歓迎される時代風緒があったと思えるのです。
 (大戦時に日本で使われたアンフェタミンやドイツで使われたメタンフェタミンは正に人間を兵器化するために使われたともいえそうですしね)

 そして、そうした時代の空気が各種のリキュールが生み出される遠因となったと思えるのです。


 一寸長くなりましたので続きは次回にでも・・・・。

 

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