2016/03
20
[ #808 ]

首切りの歴史

 先日、図書館で借り出した本が正に私好みで非常に興味深く読ませていただきまして、少し其の本について記してみたくなったのです。
 こんな本です。


      首切りの歴史


 「首切りの歴史」    フランシス=ラーソン 著   矢野真千子 約
 
 

 内容は序章+8つの本章+結びという構成。

 先ず序章にて、切り落とされた”首”という存在は、物体であると同時に”人”であるという事を見る人々に強く印象付けるが故に古来から人の目を惹きつけて止まない存在である、という事が書かれています。

 そして本章では・・・・。

 第一章
 は所謂”首狩り族”の話しなのですが、本来首狩りの風習を持つ人々は祭司的意味で首を狩っていたのであり。其の首を干し首等にする過程に於いて其の首の持つ霊力が自ら(の身内に)宿るという感覚の基、干し首を造っていたのであり其の首等に対する畏怖の念も大いに存在したのであるが、大航海時代以降、西洋文明人(白人)がその造られた干し首に興味を惹かれ収集を始め、買い集めるようになった。
 そしてそれ故、彼らは首との交換で西洋人のもたらす物(銃器や鉄製の刃物等)を得るため、商品として不必要に首を狩り、干し首を造るように成った。詰まりは”首狩り族”を生み出したのは西洋の商人やコレクターである。
 また、彼ら現地の人々からすれば、矢鱈めったら「どこかに人の首は無いか?」と探し回り買い集める彼らこそが首狩り族に感じられた・・・・云々~~。
 という事が非常に解りやすく書かれています。


 第二章
 
 では、太平洋戦争中、ガダルカナルやペリリューの戦場において、アメリカ兵が戦争の記念品として日本兵の首(や歯、耳等)を狩り集めていた事実(初めて聞く内容で少々驚きましたが、さもありなん、かな?)。また彼らアメリカ兵は朝鮮戦争でも同様の事を行い、ベトナム戦争では更に残酷な行為を多数行った事を・・・。
 またそのメンタリティーを表す物として、米海兵隊が訓練を終え戦地に赴く兵士に狩猟許可種なる物を与えていて、其処には、・狩猟対象=ジャップ ・期間=常時 ・場所=どこでも といった事が帰されていたという事実を。
 そして、戦場となった東南アジア各地において首狩りの風習を持つ人々に首狩りの伝統が復活し、それを米軍は利用しゲリラとして活用したという事も(これに関しては逆等もあった筈ですがそれは記されていませんでした)。
 

 第三章

 では、ギロチンを中心とした刑罰としての断頭、斬首の話。
 当時の西洋の刑罰の残酷さは驚きです。更に老若男女がそれを娯楽として楽しいでいた事も・・・。
 また、洋の東西を問わない首切り役人の立ち居地の類似も思わされました。


 第四章

 では、生首に惹かれ絵画に描いた画家や写真家、また蝋人形制作者等の話が・・・・。


 第五章

 では、ミイラ等となりあがめる対象とされた聖人の首の話や、薬として薬効が信じられていた頭蓋骨やミイラの話が・・・。


 第六章

 では、所謂”骨相学”の話。この骨相学、現代西洋人こそが優秀であるという結論を導き出そうという意思が根底に在ったいわば似非科学の面が強かったという話で、これは後のナチスの行為に繋がったのであろうと容易に想像できます。
 また、優生学という物、更に言えば科学や科学者という存在の身勝手さや差別意識や残酷さも感じさせる章です。


 第七章

 では、医学や医療現場に置ける”首”の存在、医学生達の病理解剖や過去の解剖、医学標本としての首の話を・・・。



 第八章

 では、移植、詰まり首の挿げ替え(胴体全体の移植)をも考える現代人や医学の話・・・(アカゲザル等ではある程度試されているという事実・・・・)。また死後、自らの頭部を冷凍保存しようとする人々の存在等・・・・。


 そして結び。

 という内容。


 個人的には、現代文明、或いは西洋人の残酷さ、といった物を再確認させられる内容ですかね。(著者は其の辺りの告発を目的に書かれている訳では無いですが・・・・)

 ともかく面白い本だったのです。

 

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