2016/05
20
[ #827 ]

ウイスキーのはなし 4

 バカナリヤのバックバーはウイスキーが多く並んでいるのですが、其の多くがスコッチウイスキーの所謂シングルモルトといわれる物。という事で其の辺りのはなしを少々・・・・。

 ウイスキーが英国全体でで良く飲まれる様になったのは19世紀初頭ころからではないかと思えるのです(また世界的にも何度かウイスキーブームの様なものもあった思いますが其の嚆矢ともいいますか・・・・)。

 其の理由として思いつくのは、一つは産業革命等に拠り英国が豊かに成ったという事が一つ。
 酒という物、そこは矢張り嗜好品、豊かでないと消費量も増えない訳でして・・・・。
 (そういえば最近耳にした話に、最近の我が国の若者の酒離れの主要因の一つが、格差と貧困に求められるという物もありました)

 


 

 


 またもう一つ重要と思われるものが、ナポレオン戦争。

 言ってみれば、0次世界大戦的でもありまして、英国と仏国が互いに海上封鎖何て事を行う訳でして・・・・・。

 これに拠り英国では、フランスから輸入されていたワインやブランデーが手に入りにくくなる、そしてその代わりにウイスキーの需要が拡大する訳ですな。
 (他にも戦費調達の為の酒税強化という側面で語られる事もあったり、また、戦争終結後の失業対策として、ダフタウン辺りで蒸留所が造られたなんて話も・・・・・)

 一方仏国では、砂糖の輸入減少~テンサイ糖の発明~後にテンサイ糖の需要減少からスピリッツ原料への転用~リキュール原料となり、リキュールブーム発生なんて事も・・・・。


 閑話休題、そうした社会情勢の中で、スコッチウイスキーの蒸留所がこの時期に結構誕生しています。


 其の中で最もエポックメイキングな物といえば・・・・・。


 この酒ですかね?


   グレンリベット

 
 グレンリベットですね。

 1824年創業のタグが輝いています。


 この年に、ハイランド地方の蒸留所としては初めに合法蒸留所として登録された常習所です。
 ローランド地方の蒸留所は以前にも書きましたが、徴税官から隠れる事が難しい故、合法蒸留所として稼動していた訳です。
 (また、ローランドとハイランドでは酒税も異なっていたとか・・・・)


 この19世紀初頭、ウイスキーの需要が増えた事が切っ掛けでグレンリベットが合法の蒸留所として表舞台に登場する訳ですが・・・・。

 しかし考えれば、ローランドの蒸留所の生産量を増やして対応するというやり方もありそうですが・・・・(まあ、これは連続式蒸留器の発明と導入という形実現する訳ですが)。
 
 まあそうならなかった理由としては、やはり、ハイランド地方で造られる密造ウイスキーの方が、ローランドで造られる合法ウイスキーよりも明らかに美味しかったという理由にもありそうです。
 (この辺り、ジョージ4世がグレンリベットのウイスキーを所望したとか、褒めたなんて逸話で語られています)

 まあ、考えてみれば合法のウイスキー、高い税金を払いかつ生き残る為、規模拡大に拠る大量生産や原材料のコストカット、すなわちモルトの使用量を極限まで減らすといった事を行っていた訳ですからさも有りなんな訳で。対して、ハイランドの密造業者はハナッカラ税を払う心算は無い訳で、重税を掛けられているモルトをふんだんに使い、かつ少量生産で職人的に丁寧に造っている訳ですからね。(合法の物より違法な物が美味しいというのも如何な物かとも思えたリ・・・・・)


 また、ハイランドの(密造)ウイスキーの生産流通量を増やすという方法もありそうですが、これはこれで製造業者としてはリスクが高い訳で・・・・。

 そうした中、ゴードン=アレクサンダー伯とグレンリベットのオーナー、ジョージ=スミスが協力しグレンリベットをハイランド発の合法蒸留所として登録する訳です。

 詰まり、密造蒸留所のまま規模を拡大すると、摘発のリスクも高くなりますし、其の場合の損失も多くなる訳でして、またそれ以上に合法蒸留所となれば、工場拡大の為の投資資金を投資家から集めれれる訳です(実はこれが大きな理由では?とおもえます)。

 ともかく、このリベットの成功を基にハイランドに多くの合法の蒸留所が誕生する訳です。(マッカランやアベラワー、ベンネビス等々・・・・・)

 言い換えれば、モルトメーカーが家族経営(のいわば有限会社的存在)から、企業(近代的株式会社 INC  CO、LTD)に脱皮した瞬間とも言えそうです。



 蛇足ついでに言えば、わが国の日本酒醸造所も江戸期は基本的に家族親族経営的な存在でした、それが近代酒造メーカーとして変わってゆく嚆矢は、私がバーをさせて頂いています東広島西条地区といわれます(西条は近代酒造発祥の地ということ)。
 

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