2016/06
30
[ #839 ]

カクテルのはなし 3

 以前”カクテル”という存在がアメリカで普及し始めてのは19世紀初頭ではないか?等と書いた記憶が有るのですが、では、現在私たちが飲んでいる様なカクテル、言ってみれば現代的なカクテルが認知されたのは何時頃なのか?という事も気になる訳でして。

 まあ、こうした社会風俗に関することは諸説噴飯、これといった正解は無いとも言える訳でして(まあ、そこがまた面白いのですが)。まあ、故に思いつくまま一寸記してみたく思います。

 



 そもそも、現代的カクテルの定義をどうするかということもありますし、世界的に認知といっても地域差もあるでしょうしね。
 それを踏まえて少々強引に・・・・。


 よく言われるのは、著名なサボイ・カクテルブックが誕生した(1930年)頃をその嚆矢とする物。
 あるいは、パリのハリーズ・アメリカン・バーの誕生した1911年頃、あるいはそこのバーテンダーがカクテルブックを出した1919頃という意見。更にさかのぼれば、ジェリートーマスがアメリカでカクテルブックを出したといわれる1860年代・・・・。何て話もあるわけですが・・・・・。

 まあ、個人的には19世紀末辺りと思いたいわけです。


 何故か・・・?


 19世紀の後半は世界で万博なんて物が盛んに開催され、いわば未来的なもの、現代的なもの、アメリカ(新世界)的なものが持て囃された時代風潮がありまして、その時代風潮に乗りカクテルというアメリカ的飲み物が持て囃され普及したのでは?と思うわけです。

 特にパリでは、1867・1889・1900と立て続けに万博が開催され、現代文明の力が展示され普及した時代でしょうから(特にその象徴が1889のエッフェル塔ともいえそうで)。

 
 カクテルがアメリカ(現代的な国、未来的な国、新世界)的象徴の飲み物と書きましたが、何故か・・・・?
 恐らくは・・・・・。


 現代文明という物が目指すのは実は効率の良さなのですが、またその象徴として、あるいはそれを計る物として速度、速さ、といったものが、良しとされる訳です。(生産現場等でもそうですよね?)

 そしてカクテル・・・・・。

 19世紀後半当時、高級とされていた、あるいは美味しいとされていたアルコール飲料は、コニャック等のブランデー、ブレンデッドウイスキー。
 そしてそれらは共に数年~場合によっては数十年の熟成の効果にりその美味しさが形作られる訳ですが、それに対しカクテルはそれに比肩する美味しさを数分間で造り出す訳です。
 ねっ?スピーディーでしょ?
 この速度感が時代にマッチしたと思う訳です。

 また、現代は近代科学技術を肯定する時代、特に往時はそうだったでしょう。
 カクテルを造る行為、一寸化学実験的ですよね、おそらくこれも持て囃された理由でしょう。

 更にいえばカクテルを造る行為、ショー(見世物)的でもありますよね?ショー・ビジネスもアメリカ的な物を良く表すキーワードの一つ、これにも合致していた訳でしょう・・・・。


 こうした理由により、19世紀末にパリを中心に世界的にカクテルが認知され普及したのではと考えるのです。

 たとえばドボルザークの「新世界」が発表され人気を博するのも確かこの時期(1890年代)だった筈ですしね。
 

 また、カクテルの”ブランデー・アレキサンダー(フランス名アレキサンドラ)”もこの時期ですよね?

 1863年、アレクサンドラ女王とエドワード7世皇太子の婚姻。あるいは、1901年の戴冠式の二つの説がありますが、個人的には1901説を押したいですね、19世紀末にカクテルが普及していた故に1901年にこうした逸話をもったカクテルが流行ったと・・・・。それに(ヨーロッパで)製氷機が普及するのは1870年代以降でしょうし・・・・(やはり氷の存在がないとね・・・・)。


 更にいえばこのイラスト。


 チャップ・ブック


 
 ロートレックが描いた物ですが・・・・・。

 舞台はパリに有った、アイリッシュ・アメリカン・バーのカウンター。
 発表されたのは1895年。

 まさにこの時期、アメリカンスタイルのバーとそこで出されるカクテルが、流行し認知され世界に広まった時期と思えるわけです。

 


 

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