2016/08
30
[ #858 ]

カクテルのはなし 5

 せっかくなのでカクテルのはなしをもう少し・・・。

 1920年代の禁酒法やモダニズム、ジャズエイジ等の影響を受け30年台初頭にはほぼ現代の様なスタイルのカクテルが完成したと想われる・・・・等と書きましたが、さて其の先は?といいますと・・・・。

 44年6月のDデイをへて米軍がヨーロッパメインランドに上陸~パリ開放~駐留といった流れの中、ヨーロッパにおいてカクテルが更に流行といいますか、完全にヨーロッパに定着したと想われます。
 戦後、キール何てフランス発信のカクテルが造られたりもしますので・・・・・。

 今回は、そしてその後はと言うはなし。

 


 その後、ある種カクテルの転換点となるのが、所謂トロピカル(オリエンタル・エキゾチック)流行といいますか隆盛といいますか?ではないのかと個人的には想うのですよね。

 第二次大戦の混乱が落ち着いた頃から、そうしたカクテルが徐々に流行り始めたように思えるのです。

 例えば、ソルティドックが造られるのが戦後まもなく、更に50年代にフローズンカクテル、その後、ピニャカラーダ等・・・・・、といった具合に。

 トロピカルカクテルとは言ってみれば、ラム等のホワイトスピリッツをベースに南国フルーツのジュース等を使い、クラッシュアイス等もしっかり使い(更に南国リゾートを思わせる色やイメージ、デコレーションがあれば更によし)といった形で、それまでのカクテルに比べ、フルーティーでライトキンキンき冷えていて・・・・・、といったタイプのカクテル。
 これが流行した背景や影響という辺り、考察の対象として興味深く思えるのです・・・・・。


 実は戦後、対戦の混乱が落ち着くと期を一にして、所謂”リゾートブーム”あるいは海外リゾートを目指す旅行ブームといった物が流行した様に思えるのです。

 理由を考察すると長くなるのですが、航空路線の発達や、開放された旧植民地の開発、米軍の保養地としてのリゾート地の建設、フランスのバカンス法改正・・・・等々、まあ色々考えられますが、なにはとまれ、リゾート開発が進み、其処を目指す旅行が流行するに伴い、そうしたカクテルも流行したのでは?と想われます。


 エッ?そんなブームが有ったの?ともいわれそうですが、やはりあったと想われます。
 例えば・・・・、

 映画007シリーズ、英国の映画で、余りトロピカルカクテルは出てきませんが・・・・・・。

 62年の第一作が、ジャマイカ、更に2作目でイスタンブール~オリエント急行~ベネチア、その後も、スイスのスキーリゾートやマイアミ、バハマ、さては日本、カイロ、サルディーニャ、ブラジル、ギリシャ・・・・・、といった具合で、当時の欧米人に人気の観光地が見事にロケ地となっていましたり・・・・・・、そう、いってみればこの映画のシリーズ、TVのOO温泉殺人事件といった二時間ドラマの英国版といいますか・・・・(勿論こちらが元祖ですが、流石はクック旅行会社誕生の国ですかね?)。
 まあ、リゾートブームを見事反映していると想われる訳でして・・・・・・。

 そして、わが国でも64年の渡航解禁、65年のJALパックのハワイ旅行の登場を嚆矢として、70年代辺りから海外旅行が憧れの対象となり、それにつれトロピカルカクテルも流行・・・・、といった仕儀になると・・・・・。(確かS社主催のトロピカルカクテルコンペが79年からだったですかね)
 

 まあそれは兎も角、こうした事を背景に、トロピカルカクテルの様な、いってみればライトで女性受けしそうな方向にある種カクテルが向い始めた様にも思えるのです(あるいは種類全般かもしれません)。
 

実はリゾートブームと平行しといいますか、その根っこに無意識的に有るのが、健康ブームの様な物ともいえる気がします。
それ故と想うのですが、80年代くらいからNY等でも、ステーキとマティー二のビジネスランチが廃れ、代わりにビジネスマンにジョギングとミネラルウォーターが流行り始めたりと・・・・・。


 
 そう、リゾートブームの根っこにはある種健康ブームも様な物、あるいはそうした思想が内包されているのですよね。


 先に第二次大戦後、リゾートブームが・・・云々・・・・と書きましたが、実はクック旅行会社が誕生した19世紀には既にバカンスブーム、旅行ブーム、といった物が誕生しているのです。

 そしてこの時期には、海沿いのリゾート地やバカンス用地の開発がされています。そして、海水浴やハイキングといった謂わば健康的レジャー、自転車やスキーといったレジャー系スポーツ、都市部でのアスレチッククラブ・・・・等々といった物が流行しているのです(我が国でも大正から昭和初期にかけ海水浴やハイキング、船旅や観光旅行といった物が流行している訳でして・・・・)。


 これは何故か、あるいは何なのか・・・・・・。


 フランス革命をきっかけとして所謂”近代化”の波が世界を覆うわけですが、此処を転換点として価値観の転換も起こっていると想われるのです。

 少々極論かもしれませんが、それ以前は、年配者の豊富な知識と経験に裏打ちされた、「知性や知恵」といった物が尊敬され大事にされる時代であったのですが(例えば我が国でも、上級役人とうは老中とか若年寄とか、あるいは地域社会でも、年寄り=知恵者・尊敬されるべき人、であったわけでして・・・・)、謂わば人々に求められ、目指されるものが知性だった訳ですが、それが近代化、謂わば新世界的、アメリカ的時代においては、若くて健康的な身体、肉体こそが、目指される物に変わった訳です。

 詰まりは、他者とも関係性や社会的知性よりも、個人の健康こそが重要・・・・・といった方向になった、あるいはそう喧伝される時代に・・・・・。

 (尤も、故に、あるいは逆説的に?社交界などでは知的で文化的会話が出来ることが重要視もされる事にもなった訳でしょうが・・・・・)


 実は現代的旅行会社の嚆矢ともいえるクック旅行会社、これを造ったクック氏は禁酒主義者であり、飲酒という不健康な楽しみ・遊びに変え、旅行という健康的な楽しみ・遊びを流行らせる為に会社を興したといわれていたり・・・・・。


 長くなってしまいました。





 とまあこんな感じでカクテルの流行の背景を考えてしまう性質なのですが、結構重要な事ともおもうのですよね。

 其の先に”今”という時代がある訳でもありますし・・・・・。




 

スポンサーサイト

Copyright © ますた [バーテンダーと呼ばれる程のバカは無し] All rights reserved.

≪  プラザ閉店   |   ダンスフロア  ≫
COMMENT:

SECRET: (管理者だけに表示を許可する場合)
 
トラックバックURL :