2016/09
22
[ #867 ]

カクテルのはなし 6

 ここのところカクテルに対する雑感(妄想?)を想い付くまま書きなぐっている訳ですが、そうなるとこの辺りの事、やはり外せない気がするのです。


     映画 カクテル


 ハイ、1988年公開、トム=クルーズ主演の映画”カクテル”

 世界的に結構ヒットした様で、この映画がバー業界に与えた影響は少なくない気がするのですよね。

 特にそれまでバーでお酒を飲んだ事が無い様な若い人達に、”バーテンダー=ボトルやシェーカーでジャグリングをする人”といったイメージを植えつけた様な気もしますし・・・・(私も開店当初、ボトルを投げないのですか?と聞かれた事も有った様な・・・ 笑 )。


 



 この映画で描かれるようなカクテルの造り方、一般にフレア(バーテンダリング)と呼ばれる訳ですが、こうしたショー的要素に特化したやり方、古くは19世紀には有ったといわれますが(流石、ショービジネスの国、アメリカですかね?)、この映画の様なスタイルの物は1960年代、フロリダのバー(T.G.I FRIDAY’S)が嚆矢といわれています。
 フロリダという謂わばリゾート地で生まれたという事も如何にもという気がします。

 そしてその後、1980年代位から全米で流行し、大会も開かれる様になり・・・・、といった状況の中、上記のバーの協力もあり製作されたのがこの映画、ということで略、間違いないと想われます。

 そう60年代のリゾートブームの中、リゾート地で生まれ(今でもアメリカ型リゾート施設等では各種のショーが付き物ですしね)、そして80年代に広まった訳ですが、私としては、やはり時代風潮といいますかそうしたことを想うわけです。


 一般に欧米にバー等(飲み屋、酒を提供する事を主体とした飲食店)、ライセンス制であり、有る程度軒数もコントロールされている面も有るようですが、特に米国は、1920年代に禁酒法を実施した国でもありますように、飲酒に対する規制は結構厳しいようで(勿論、州に拠って有る程度違いも有るでしょうが)、今でもお酒を買う場合身分証が必要だったり、公園等でおおっぴらに飲酒する事が禁止だったり、営業時間の制限が厳しかったり・・・・、なんて事も耳にしますよね。


 また、米国、言ってみれば先の大戦、実質一人勝ちといった状況で、戦後は経済的に豊かで好景気という状況もあった様で・・・・。そうした中、このバーの営業ライセンスも高価格で取引される様な状況も生まれた様です。


 となりますと、新たに飲食店をオープンする場合、それなりの資金も必要になる、そうなると経営者(オーナー)としてはこの初期投資をいかに効率よく回収するか?というはなしにもなって来る訳でして・・・・(ビジネスとしては当たり前の話でしょう・・・)。
 では、高額な初期投資をどう回収するか・・・・?と考えた場合・・・・・、とにかくフロア面積を大きくし、多くの客をいれ、かつその回転率も上げ・・・・・、といった話になる訳でして・・・・・。
 この頃から、アメリカでは床面積の大きな、所謂オープンバーばかりになる訳でしょうが・・・・。

 更にチェーン店化、なんて事も・・・・・(上記のバーもそうですし、各種ファストフードチェーンが増加するのもこの頃からでしょう・・・)。

 そしてそうしたバーでは、スタッフ(バーテンダー等)に求められる物も変わってくるわけでして。


 古くは・・・、例えば繊細で芸術的カクテルが造れる技術であるとか、目の前のお客様と広範囲で知的な会話が出来るとか、カウンセラー的素養があるとか・・・・、等々が求められていた訳でしょうが、大規模なバー、チェーン店やフランチャイズ的なバーでは、何はとまれ、たくさんの客を捌ける能力が求めれれる訳でして(如何に効率よくたくさんのカクテルが造れるか?)、しかも出来れば・・・・、
 ”低賃金で!”

 実際、現在ではバーのフロア店員なんて、アメリカではワーキングプアの典型的な職業となっている訳ですしね。
 (この辺り、ニクソンショックの影響~レーガノミックスの時代風潮といいますか・・・・・)
 まあ、言ってみれば、チェーンのバーの店員がブラックバイト的な方向に向かう訳です。


 では、そんな仕事だれがしたがるの?という話にもなりそうですが、唯、アメリカの場合、我が国と違って、チップという制度がありまして、店からもらえる固定給が低くても、このチップが結構な収入になると(店にも拠るでしょうが)いう訳です。

 そうなりますと、たくさんカクテルを造れればチップ収入も増える訳ですが・・・・・、まあ、それも限界はありますよね?


 此処で、フレアのはなし。


 詰まり、より高額なチップを得るためには派手なパフォーマンスをすれば・・・・、というはなしになる訳でして・・・・。

 今でもNY等、ストリートパフォーマーの様な方が多いという話もききますし、まあ大道芸で・・・・、といのはアメリカの文化?なのかも知れませんが・・・・。

 そんなこんなで80年代位から、そうした事が流行り始めた・・・・、ということでしょう。



 そして、映画”カクテル”の公開により、世界的に流行~定着・・・・・。


 ではこれでどうなったか・


 ひとつ、旧来バーテンダーからは批判的に受け止められたのは事実でしょう。

 曰く、「あんな荒っぽい造り方でまともな味のカクテルが造れるのか・・・・?」 云々、というはなしは当然でる訳でして・・・・・。


 では、その辺りドウなのか・・・・・。

 (まあ、基本的に、旧来のバーテンダーの仕事とフレアのバーテンダーは売っている物が異なるわけで余り比べても意味は無いでしょうが)、所謂、旧来のカクテルの様な繊細さとか緊張感とか美味しさとかといったものは足りないといいますか、比べる意味も無いでしょうが、そこそこ美味しく飲める味には成っている訳でして、といいますか、そうでないと流石によくないですよね・・・・。


 ではああした荒っぽく見えるそこそこ飲める味のカクテルが出来るのか・・・?


 その一つがフルーツ系リキュール・・・・。


 前回、戦後、トロピカル(オリエンタル、エキゾチック)カクテルのブームの様な物が戦後生まれたのでは?等と書きましたが、その流れの中で、70年代の終わり頃から、各種のフルーツ系のリキュールが誕生し、それらのカクテル使われ始めるのです。

 その代表的な物が、アメリカで開発され、オランダのデ・カイパー社が製品化したこちら・・・・・。


 ピーチツリー


 オリジナル・ピーチツリー。


 (他にも ディタ や ミドリ パッソア マリブ 等もその仲間ですかね?)




 そう、こうしたリキュールの登場がカクテルやバーの世界に与えた影響は少なく無い気がします。


 ちょっと長くなりましたので、そのあたりのはなしなまた改めて・・・・・。

 

スポンサーサイト

Copyright © ますた [バーテンダーと呼ばれる程のバカは無し] All rights reserved.

COMMENT:

SECRET: (管理者だけに表示を許可する場合)
 
トラックバックURL :