2017/03
06
[ #916 ]

廓のおんな

 これまた如何にもといった本で申し訳ないのですが、先日図書館で偶然目に留まり読んでみたのです。


      廓のおんな


  「廓のおんな」  井上 雪
  
 


 サブタイトルに -金沢名妓一代記ー とありますように金沢の東廓の名妓”きぬ”の生涯を描いた実録小説です。
 作者は金沢在住の地元作家の女性の様です。


 読み始めて、昨年金沢に遊びに行く前に読んでおけば良かったかな・・・・等と先ずは想ったのですが、読み終えてみますとやはり今の時期に読んで良かったかな?という印象に変わりましたね。


 私、古い町並み(主として花街や色町の香りの残る地域)等を散策するのが結構好きなのですが、其の場合や或いは単に知らない街にや場所に旅行に出かける場合もそれなりの予備知識が有った方が旅に深みが増すと思っている性格でありますが(まあ、それもやりすぎると資料や情報の確認が目的に成ってしまったりで問題もありそうですが)、この本の場合は事後読書で良かったという印象なのです。

 町並み等をあるく場合と違い、芸妓さん等に直接対面して遊ばせて頂く場合は、下手な予備知識が無い方が自然体で遊ばせていただける気がするのですよね。
 特に私の様な性格の場合(少々、緊張しぃ、自意識過剰、頭でっかち・・・・気味・・・?)。

 何せ相手は本職、私の様な人間が下手にいらない事をしゃべってもね・・・と。



 閑話休題、この本の感想ですが・・・・。

 確かに文章等少々拙さを感じた部分等有ったのですが、魅力的な本でした。


 こうした芸舞妓さんの生活や仕事等を描いた本も最近割りと目にする機会も増えたように思うのですが、芸妓さん自身がかかれた本等は割りと表の部分が主、といいますか。いわば、日本の伝統文化の継承者としての芸舞妓、あるいは無形文化財的な存在としての芸舞妓や花街といった視点が多い気はするのですよね、勿論それはそれで魅力的なのですが。
 (場合によっては芸妓に学ぶ商法、経済学なんて切り口の物も会ったり・・・・)

 また、(特に女性)ライターの書かれた物はどちらかというと、虐げられた女性といった視点が前に出たり・・・・。

 (勿論、単に興味本位というか、エロティクな雰囲気をメイン何てものもあったり・・・・)


 で、この作品ですが、なんと言いますか、裏も表も含め淡々とといいますかてらい無くといいますか・・・、そんな感じで(主として戦前の)金沢芸者の生涯を描いてあるように思えます。これが良いのですよね。

 また随所に登場する金沢弁が良く・・・。

 そう、方言こそが地方文化(或いは言葉こそが文化)では?等と思う私からすると何とも魅力的なのです。

 また金沢の花街の歴史の記述も多く其のあたり資料的にも読めそうで・・・・。


 兎にも角にもこの立ち居地といいますか、金沢の廓の表裏両面を適度な客観性と愛情を持って描かれているのが魅力的な一冊でした。

   

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