2017/04
29
[ #931 ]

アメリカ第二次南北戦争

 先日図書館にてタイトルに惹かれ借り出した本なのですが、面白かったのです。




         アメリカ第二次南北戦争



 「アメリカ第二次南北戦争」   佐藤賢一


 


 
 佐藤賢一というと16世紀初頭のパリを舞台にした「カルチェ・ラタン」であるとか、トマ・アレクサンドル・デュマを主人公とした「黒い悪魔」とか・・・・、兎も角ヨーロッパ(主としてフランス)を舞台とした歴史小説を書かれる作家というイメージが強く、またそこが好きだった訳ですがこうした作品も書かれるのですね。
 少々驚きと共に楽しく読ませていただきました。

 そうヨーロッパ史を中心にした歴史小説ということで、全体的に固めのテーマの小説が多い作家さんと思っていたのですが、この作品は兎も角”軽妙”といいますか、これがまた面白いのです(まあ他の作品にもその片鱗は感じられておりましたが・・・)。


 閑話休題、内容はといいますとタイトルの通りでアメリカで第二次南北戦争が起こった・・・・、という舞台設定の現代小説といいますか近未来小説です。

 雑誌に連載が開始されたのが2004年で舞台が2016年ですから、そこはやはり近未来(SF)小説という事になるのでしょう。
 そして、今は2017年、当然未だ第二次南北戦争は起こってない訳でして・・・・・笑 。

 そうSF物ってそういった事に成りやすいですよね・・・、細かい部分で着てしまった現在との齟齬が多々出来てしまうという・・・。
 特に昭和の後半に書かれた物などは、車が空を飛んでいるのに、街のいたるところに公衆電話が健在だったり・・・・(そういえば2001年宇宙の旅も・・・・・もう15年以上過ぎてしまいましたね)。

 当然この小説も戦争に至る直前のアメリカの社会風潮等、過ぎてしまった現実とは異なるところが多い訳ですが、しかしこれが余り気にならないといいますか、反って面白いといいますか。

 以前にも書いた記憶があるのですが、SF小説という物、舞台装置に縛られず著者が書きたいことを書けるという特徴があるように思いますし、この作品は特にそのような気がします。

 普段歴史小説しか書かない著者があえて書いた近未来小説。

 ではこの作品で著者は何を書いているのか?或いは何を書きたかったのか?

 端的に云えばアメリカそのものといいますか、アメリカというキーワード、或いはアメリカという思想・宗教・・・・、まあそういったものでしょう。


 さらにありていに言えば、著者の嫌米感が行間に・・・・・。そしてこれが面白いのです。
 (個人的にはアメリカ政府が成してきた事を更に辛らつに描いていただいても良い気もしますが、娯楽小説としてはこの辺りが妥当なのかもしれませんね・・・・)

 はい、見事渡し好みで楽しく読める小説、見事な娯楽小説に仕上がっている印象です。


 特にここ半月程は東アジア(北朝鮮)情勢が緊迫気味ですし、少し古い小説ですが今の時期に読むさらに楽しさが増すお勧めしたくなる小説です。


 もっとも、米国万歳教的メンタリティーの方にはお勧めし辛いかな?いや、本当はそういった方にお勧めしたいかな?
 
兎も角、個人的には今お勧めの小説ですね。


 

 

 

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